ここ数年来、利用しているAlsace(アルザス)地方の農家キャンプ場(Camping a la Ferme)です。
広い敷地と、開放感、日当たりの良さと、低い立木による日陰の具合が良いのも気に入っています。

2012年は、スイスからTour de Franceのプロローグが行われたベルギーのLiegeに向かう途中で利用しました。
ライン川沿いに付けられたD20という地方道路は、町を通過しないためロータリーや信号機が無くて交通量も少なく、いつも高速道路並みの流れです。
ちなみに、フランスの一般道路の制限速度は、市街地で50km/h、郊外では90km/hです。

Rhinauはライン川沿いの町で、無料フェリーが対岸のドイツとの間を結んでいます。
ドイツ側の船着場からAutobahn(アウトバーン)5号線まで約6km、スイスやフランスAlsace(アルザス)地方南部から無料のAutobahnを駆使し、ドイツ北部に向かう途中で使っているキャンプ場でもあります。

ある年の9月に3日間ほど滞在した時、区画割の目安になる立木のりんごや梨が色づいていました。
夕食が終わった頃に、緩衝地帯(場内道路)を置いた50m程の斜め向かいのキャンピングカーから偵察のオヤジがやってきたので、軽く会釈しました。
翌日の昼、そのオヤジに招かれて安くて旨いドイツビールなどの御相伴に預りました。
この辺りは、オールド・ジャーマンと呼ばれていて、のどかで安全な地域だと話してくれたりしていました。
ビールが2缶開いた頃に、お礼を言って自分のテリトリーに戻ろうとしたら「ちょっと待て、良い物を上げよう。」と言って、キャンピングカーの裏へ回り込ました。
大いに期待しつつ待っていると、ちょいと傷が付いているりんごと梨を両手に持って出てきました。
「クッキングに使え。」なんてことを言いながら、ビニール袋に入れて渡してくれました。
・・・・そう、熟れて自然落下したやつを拾ってくれたのです。
キャンプ場や、路傍のよく熟れたサクランボをデザートに頂く事は、現地人の見よう見まねで1990年代からやっていたのですが、キャンプ場の木立の果実を食糧の足しにすることなどは思い付きもしていなかったので、目からウロコな事をオランダ人のオヤジは教えてくれました。
早速、夕食の「オリーブオイル、にんにく、唐辛子、チョリッソ、タマネギ、人参、その他の野菜を放り込んで」というものぐさ鍋に、梨の傷んでない部分を放り込んでみたら、辛さに甘味が加わってなかなかの美味でした。
2012年の夏、オーストリアのキャンプ場周辺で拾った硬い小さなりんご、熟れてなくても煮物に入れると酸っぱさの中にほのかな甘さが感じられました。

広くて開放的、良い草、長期滞在者が多くのんびりとした雰囲気、歩いて行ける町にはパン屋、町と反対方向にはガソリンスタンドが併設されたスーパーマーケット(Super U)、安くて旨いドイツビールを欲すれば無料フェリーで国境を一跨ぎ、という便利な環境です。
Alsace(アルザス)地方で一番気に入っているキャンプ場で、星3つの評価としました。
寒い時期は暖房が入るトイレで、複数のトイレットペーパーを鉄パイプで串刺しにして鍵をしていました。
安全なオールド・ジャーマンと云えども、節約か、いたずらかで持って行かれたのでしょう。

2012年、Tour de Suisse第8ステージが終わった後に辿り着いたキャンプ場です。
6月中旬のスイス、梅雨と言いたいくらいに、これでもかこれでもかと雨が降り続いていました。 やっと前日にカラッと晴れ上がり、この日も気分良く過ごせました。

Walensee(ヴァレン湖)沿いの道路から傍道に入り、標識を辿ると山上に導かれ、素晴らしい風景の中にキャンプ場の入口が現れます。
テントサイトからも、Walenseeを挟んだ向かい側の美しい山並みを眺める事ができます。
少し傾斜しているものの、草の密集度も、ペグの刺さり具合もトップクラスです。
しかし、十分な敷地を持っているにも関わらず、テントサイトがあまりにも狭過ぎます。
私が一番乗りだったので、三角形のテントサイトにテントを張ることが出来ましたが、最後に到着した家族連れはテントサイトで無い場所に大型テントを張っていました。
テントサイトには、私を含めて2組でした。
一番高い位置にあるサニタリー棟から少し下がった狭い三角形のテントサイト以外は、斜面にコテージが並んでいるキャンプ場でした。

景色が良くて開放感はあるのですが、あまりにも狭いテントサイトという事で、星1つとしました。
ハイシーズンになると、ぎゅうぎゅうに詰めこまれそうで、足を向けたくないキャンプ場です。

2012年、雨が降ったり止んだりする中、Tour de Suisse第5ステージの補給地点とGPM(山岳ポイント)を同一地点で見た後、もうそろそろ雨続きから逃れたいものだと思いながら、小雨の中を移動して見つけたキャンプ場です。

観戦地点から山を降りてから、さほど移動せずに行き当りました。
テントを立てて、食事の用意をしていると小雨が降り始めました。
タープを出すほどの勢いある雨じゃあないけど、気温が低い中で濡れるのも嫌だからもう少し様子を見て、止みそうでなかったらタープを引っ張りだそうか、などと思案していたら、テントサイトに隣接するコテージに居たおばさんが見かねてかパラソルを持って来てくれました。
背が高く大きな面積を持ったパラソルは、地面に突き刺す突起物が4つあり、それを使うと抜群の安定感で少々の風にはびくともしない代物でした。
跳ね上げたOpel Corsaのバックドアとパラソルを併用し、緑に覆われた丘を眺めながら小雨の中でも快適にCoop Lagerビールと共に夕食を済ます事が出来ました。
翌朝、コテージにパラソルを返しに行き声を掛けたのですが、未だ寝ているのか朝の散歩に出ているのか返事がないので、入口横に返しておきました。

敷地の殆ほとんどをコテージやコンテナハウスが占領していてテントサイトは狭いのですが、良い草に覆われて少し傾斜した地面は水はけが良く、少々の雨でも快適に過ごせました。
無料のWi-Fiもあり、星2つの評価としました。

2012年のTour de Suisse第3ステージ、補給地点近くで追突事故にあってしまい、PeugeotのOpen Europeと契約してるEuropecarから渡された代車はOpelのCorsaでした。
Peugeot 308SWに比べると寂しすぎる積載量で、Tour de Suisseが終わって数日後まで、後部座席まで荷物が満載となり、小さな車にキャンプ道具を詰め込んだフランスのバカンス客さながらでした。
治安が良いスイスといえども、車から遠く離れるのをためらいました。
第4ステージ終了後、快適なテントサイトを持つキャンプ場が見つからない事や、毎日必ず雨が降る事、事故の精神的後遺症が相まって、落ち込んで行く気分を変えようと国境を越えてフランスのアルザス(Alsace)地方に入って見つけたキャンプ場です。

この日は、朝から雨が断続的に降り続いていました。
キャンプ場に到着してからやっと小粒の雨が時折落ちるまで回復してほっとしましたが、太陽は現れず。
広くて開放的なキャンプ場の中央付近は、洗濯機まで持ち込んだキャンピングカーの先客たちが群れていたり、降雨のせいで地面が緩んでいる場所があったりで、端っこで地面が緩んでいない所に落ち着きました。
道路から離れて静かで、空の眺めが良くて好みのキャンプ場ですが、すかっとしない空模様に気分は少しブルーなままでした。

トイレに紙が備えられている確率が高いアルザス(Alsace)地方のキャンプ場という固定概念は、ここでも裏切られる事はありませんでした。
スーパーマーケットで6本入りの中でも一番安い紙(トイレットペーパー)を仕入れるのですが、2012年は2回仕入れただけです。
巻数が少ない、総延長が短い紙12本で約3ヶ月のキャンプ場生活を過ごせたというのは新記録です。 最近は、フランスの他の地域でも紙を備えたキャンプ場が増えたのでしょうか。

草の状態は良好で、すかっと晴れ渡っていれば良い印象を与えてくれると期待を持って、星2つの評価としました。

翌日、2003年から使っていたDC-ACコンバーター(出力100V)が発火してご臨終。
こりゃあ大変だと焦りましたけど、Altkirchの町外れのMulhouseに向かう地方道路脇に大きなスーパーマーケットを見つけて、DC-ACコンバータ(出力200V)を購入出来て胸をなでおろしました。

2010年、Tour de Suisse第3ステージを補給所で見終わった時は晴れていたのですが、予めあたりをつけていたBern(ベルン)近郊のキャンプ場に向かい始めると、あいにくの雨が。
このEichholzというキャンプ場に着いた時は、一晩中降り続くのはほぼ確定したかのようなシトシト雨になっていました。

雨のキャンプは気が滅入るものですが経験を重ねていく内に、タープと車のバックドアを使って食事中は雨に濡れないように工夫したりして、さほど苦痛感を持たないようになりました。
しかし、このキャンプ場は車とテントサイトが離れた設計、テントサイトに車が入れないようになっていました。
駐車スペースからテントを張る場所までは、さほど離れていないものの、シトシトとはいえ「雨」です。
最初にテントを運んで立木の横に設営、次に立木とテントの間にタープを張って調理と食事スペースの確保、食材と調理器具の運搬、寝袋とマットレスの運搬、何往復したことやら。
雨が降ってなければ、ちょっと面倒くさいなあと思う程度ですが、濡れないように気を遣いながらテントの場所へ持って行くのは、とても面倒くさい事でした。
そのかわりといってはなんですが、草は短く刈りこまれ、土が露出している場所もなく、文句なしの星3つの最高ランクでした。
シャワーは温水で、予め1.5SF(スイスフラン)で購入したコイン状のブツを投入してスイッチのON-OFFを繰り返し、ONの時間が合計で3分になれば切れるという仕掛けでした。
スイスのドイツ語圏(ドイツ、オーストリアでも)でよく見かけるこの仕掛けは、焦ることなくゆっくりと汗を流す事ができて助かります。

キャンプ場のレセプションで、シャワーの料金とお湯が出る時間を聞くのは重要な事です。
石鹸を流す前にお湯が止まってしまって、水も出ないような状況になったら悲惨です。
リスクコントロールとしては、コイン状のブツを余分に買い求める事です。
スイッチON-OFFのシャワーで試しにONして湯が出たりしてしまうと、えらく儲けたような気持ちになってキャンプ場の評価も上がってしまいます。
このキャンプ場では、そんな「棚ぼた」状態にありついてない事もあり、星2つにしました。
「棚ぼた」だったとしても、テントの横に車が置けないレイアウトでは、星2つですね。
しかしながら、素晴らしい草の状態は気持ちをゆったりとさせてくれます。
たぶん自転車はテントサイトに持ち込めたと思いますから、サイクルツーリングにはお薦めのキャンプ場です。

翌日、雨が上がり曇り空、スイスの首都Bern(ベルン)を車で通過しましたが、相変わらず落ち着いた佇まいでした。

Liechtenstein(リヒテンシュタイン)国境に程近いオーストリアの町Feldkirchから東へ30km、Braz bei Bludenzという小さな町の4つ星Gasthof(Hotel)に併設されたキャンプ場です。
3度にわたり、Megane Estateの粒子フィルター(排ガスフィルター)が詰まってしまうというアクシデントに襲われた2009年と、翌年の2010年に利用しました。
Tour de Suisseの第1ステージがリヒテンシュタインで行われた2009年は、第1ステージの前日から6泊し、2日間Tour de Suisseを見ずに、詰まりが3回目となった粒子フィルターの交換を近くのガレージでやって貰いました。

粒子フィルターが詰まるトラブルは、前年の2008年にも生じていたのですが、ヨーロッパ彷徨の終盤だったので、さほどのストレスとはなりませんでした。
2009年はGiro d'Italiaのドロミテステージの前日、走行距離5,000kmほどで1回目が生じ、Bolzanoのガレージで詰った粒子を除去して貰い、この時は無料でした。
2回目は、Giro d'Italiaがオーストリアを経由してスイスへ入ったステージの当日、走行距離5,600kmでした。
600kmでまた詰まるとは、粒子フィルターそのものの欠陥じゃあないかと疑ってしまいました。
St. Moritz(サンモリッツ)の隣町Samedan(サメダン)の空港近くのガレージで、詰まった粒子を除去して貰いましたが、200SF(約18,000円)請求されました。
3回目の粒子フィルターの詰まりは走行距離9,740km、やはりスイスで、しかも2回目の詰りを除去してもらったガレージから遠くないところで起きてしまいました。
そのガレージを訪れると、60km/h以上で40kmほどそこらあたり走って来いとの指示で、おおせのとうりに谷間の平地を数往復して距離80km、詰りを警告するランプは消えず、ガレージのメカニックに報告すると、手一杯だから次の目的地まで行って処置して貰えとのつれない返事でした。
金曜日のしかも、15時を過ぎた時間帯が、そういうつれない返事の根拠だろうと感じつつ、次の目的地Tour de Suisseの第1ステージ観戦のベースキャンプを探して、オーストリアへ入りこのキャンプ場を見つけた次第です。
3回もの粒子フィルターの詰まりはかなりのストレスを感じましたが、前年の2008年に右折時に追突された事故によって起きた諸々のストレスに比べれば可愛いものでした。

心配事を抱えてたどり着いた4つ星Gasthof(hotel)併設のキャンプ場は、南北両側から山並みが迫る狭い谷間に位置していました。
そして、北側の山の手前には鉄道線路という絶好の山彦(やまびこ)ロケーション。
壁のような南の山々から跳ね返って来た山彦は、北側に戻ってきてこれも壁のような山々に跳ね返って来るという素晴らしさで、列車が何処を走っているのか皆目分からなくさせてくれ、汽笛でも鳴ったらもう最高の騒がしさでした。
その騒がしさは、そう煩雑にあるわけでもなくて、何故かさほど気にもならず、今は記憶の中で懐かしい音響となっています。
テントサイトは少し傾斜しているものの、おおむね良い草に覆われていて、Gasthofに近い場所にテントを張るとパスワード無しのWi-Fiに接続できました。
暖房が入ったサニタリー棟のトイレは清潔で、トイレットペーパーは勿論の事、石鹸と手拭き紙も備え付けられていて言うことはありませんでした。
Gasthofとキャンプサイトの間には、立木を密集させているのですが豪華なプールとその奥にあるガラス張りのspa(スパ)がちらっと見えます。
キャンプサイトにもプールがあり、こちらは遮るものもなく365度どこからも見えるようになっています。

2010年だったか2009年だったか覚えていませんが、何かの用事があって食事が終わりほろ酔い加減で20時頃Gasthofのレセプションに行くとフロントの若者は、カウンターの下に並々と注がれたビールジョッキを置いていました。
たぶん宿泊の延長を言いに行ったのだと思いますが、こちらもあちらもアルコールが程よく回り、どちらも上機嫌で用事を済ませました。
のどかな田舎町の4ッ星Gasthof(Hotel)でした。

粒子フィルターの交換に費やすための日々、しとしと雨が降ったりしたのですが、オーストリアらしいと感じる落ち着いた雰囲気の風景と町並みも相まって、星3つの最高評価としました。

----------------------------------
::: 追記 2012 :::
キャンプサイトに有ったはずのプールが消滅していました。
----------------------------------

2011年8月初旬、フランスのルルド(Lourdes)近郊でピレネー・サイクリングに満足した後、スペイン経由でポルトガルに向かう途中で使った公営のキャンプ場です。
着いた時は、レセプションが未だ開いていなかったのですが、場内をぐるっとひと回りした後でレセプションに戻ると、いつの間にかやって来たマダムが2、3人の客をさばいていました。

8月初めという時期はハイシーズンに当たるようで、レセプションが開く前に場内を回った時も混雑ぶりがうかがえました。
普段はテントサイトとして使わないであろうサニタリー棟の前、柳の木の下に居場所を貰い、テント設営、シャワー、夕食作りと何時ものセレモニーをこなしている間にも、次々とキャンプ客がサイトとして区切られている空間を埋めて行きました。
フランス・バスク地方に位置するSaint-Etienne-de-Baigorryの中心街は、キャンプ場からスペイン国境に向かって1.5kmほど離れています。
夕食後にほろ酔いかげんで中心街を訪れると、特徴的なフォントで書かれた看板など、バスクの雰囲気が充満していました。
フランス・バスク地方では、道路標識はフランス語とバスク語が併記されています。
たまにフランス語部分が塗りつぶされていたりするのですが、この町ではそういった事はありませんでした。

混み合っていたものの、隣との距離は必要最低限保たれていて、主要道路から離れているので夜は静かで快適に過ごせました。
少し傾斜していましたが良い草に覆われて、サニタリー棟に近いのもありがたかったです。

Vuelta a Espanaが終わった後、1ヶ月ぶりに再訪した時は、8月の混雑ぶりが嘘のように閑散としていました。
しかし、不思議な事にハイシーズンは終わっている筈なのに、料金が0.4Euro高くなっていました。
多分、8月の5.8Euroというのは、何らかのミスなのでしょう。
フランスのキャンプ場では、たまにあることです。

8月の混雑時、9月の閑散期ともに快適に過ごせたので星2つとしました。
テントサイトの1区画は、十分に広いですし、小川に面したサイトもあります。
トイレに紙が備え付けられているのも、好印象です。
フランスに比べると、キャンプ場料金が高いスペインへの行き帰り、少しでも節約するために使いたいキャンプ場です。