私のEuro-Camping

 Stove(ストーブ )

2〜3週間ヨーロッパをぶらついていた時のストーブ(クッキング・ストーブ)は、Coleman(コールマン)の自動車ガソリンでも使えるPeak1(ピーク1)でした。
しかし、2003年のヨーロッパ彷徨からはMSRの燃焼面が地面からあまり離れていないストーブを使いました。

今はメンテナンスしていない海外レース観戦ガイド用品編 に書いたように、自動車用無鉛ガソリンが使えて、プレヒートが必要無く、弱火でもある程度は安定している、燃焼面が地面から適度に離れていてテントサイトの下草を焦がしたり燃やしていまったりするリスクを避ける事が容易、という点ではColeman(コールマン)のPeak1(ピーク1)が良いのですが、ポンピング棒の先に付いているパッキングがへたり易い事や、燃焼面を本体に留めているセルフタップネジを一度緩めた後にネジの締まりが悪くなって燃焼面がグラグラしてしまう事でPeak1は長期には向かないと思いました。
.....現在Peak1はColemanのラインナップから無くなっていて、Feather 442 Dual Fuel Stoveがその流れを汲む製品の様です。

海外レース観戦ガイド用品編で、 「炎から地面までがPeak1に比べて近いので、悪条件が重なれば、芝生が少しかそれ以上の面積で燃える確率がPeak1に比べると大きくなるかもしれません。 プレヒートが必要というのもウイークポイントでしょう。」 と書いたMSR XGK2ストーブの流れを汲むDragonFlyを仕入れて2003年のヨーロッパ彷徨に使いました。
DragonFly(ドラゴンフライ)は液体燃料なら何でも燃焼させることが出来そうな実に優れたストーブで、燃料を噴射して燃焼させるジェットという部品を取り換える事によりwhite gas(ホワイトガソリン)、automobile gas(自動車用無鉛ガソリン)、kerosene(灯油)、diesel(軽油)、aviation gas(AV/ジェット燃料)を燃料として使えるようです。

DragonFlyのページでFuels Around the Worldという項目をクリックして新しいページ(ポップアップ)を開くと、leaded fuels(加鉛燃料)は使ってはいけないけれど、mineral spirits(?)を燃料として使えそうに書いています。
加鉛燃料から想像できる燃料としては有鉛ガソリンで、日本のガソリンスタンドでは目に付く場所から駆逐されてしまったガソリンです。
ヨーロッパでのガソリンスタンドでも、unleaded(無鉛)の表示ばかりですから間違ってleaded fuelsを購入することはまずありえないでしょう。
mineral spiritsという燃料はMSRのwebサイトでは日本語に訳されていないのですが、フランス語訳でespirit-de-vin or alcoolとなっているのでワインを蒸留したアルコール濃度が高い「何か」とか工業用アルコールが使えそうです。
イタリアのキャンプ場で「バーボンウイスキーでも火が着くよ。」とアメリカ人から聞いたことがありますから、たぶん十分なプレヒートと絶え間ないポンピングを覚悟すれば高純度の工業用アルコールは勿論の事、50%位のアルコール飲料でもいけるのではないかと想像します。
燃料ボトルからストーブまでの細いパイプ内とジェットで詰まらない液体燃料ならば何でも燃やせそうです。
そしてDragonFlyの目玉は、使用途中でのポンピングをサボらなければPeak1と同じように弱火が使えることです。

MSRの日本での輸入元は、2007年現在のところモチヅキでリンクを辿れば日本語の取扱い説明書のPDFファイルがダウンロード出来ます。(MSRのサイトでも手に入ります。)
この取扱い説明書が中々の優れもので、各燃料の各国語訳や詳しい図解で1つ1つの部品の位置関係を示していたり、製品に付属している簡単なメンテナンスキットの使い方を説明していて大抵のトラブルは解決出来るように導いてくれます。

ストーブ本体の構造が簡単で作りもしっかりしていて長期の旅行に良さそうだったので日本で購入し、自転車のパッキングに同居させて持って行きました。
消音器などは無いハイパワーストーブの騒音で回りの人々に対して少し気遅れしつつ、夜のビールやワインを飲みながらの野菜主体の料理、朝のパスタ茹でに期待どおりの活躍をしてくれました。


プランジャーの固定

このストーブのウイークポイントは、燃料ボトルに差し込むポンプユニットの部品全てが合成樹脂で作られている事で、これはMSR製の全ての液体を燃料とするストーブに共通しています。
先端にゴム(?)製のポンプカップが付いたプランジャーをポンプ本体の中に差し込んで、ピストン運動させる事により燃料ボトル内の空気層の圧力を上げて燃料の噴射を加速させるのですが、ポンプカップの手入れの為にプランジャーとポンプ本体が分離出来るようになっていて、その固定方法はプランジャーの凸部(プランジャブッシングタブ)をポンプ本体の切り欠きに合わせてから回転させます。
何ヶ月間かほぼ毎日使っていてある日、ポンピングしていたらプランジャーが放物線を描いて飛翔してしまいました。
プランジャーを捜し出して何事かと眺めてみると凸部が見事に無くなっていました。 合成樹脂ゆえの悲しさか、ポンピングによる圧力に耐え切れなくなって凸部が旅立ってしまったのです。
2003年に購入したDragonFly(ドラゴンフライ)の話で、現在のやつは凸部をポンプ本体の穴に差し込む方式のようですが、しょせんは合成樹脂ですから同じような目に会いかねません。
しかし、プランジャーに圧力が掛かるのはポンピングする時だけなので、プランジャーをガムテープなどでポンプ本体に固定しておいて、片手でプランジャーが抜けないように抑え付けながらポンピングするという簡単な解決策があります。

もう1つのウィークポイントに、プレヒート皿に生ガソリンを溜める時に芝生にこぼしてしまうと、プレヒートの為にプレヒート皿に火を着けると燃焼面と芝生が近いため芝生にも炎が移ってしまう可能性があります。
これは、ストーブ本体の下に4枚くらい重ねたアルミ箔を敷くことで解決出来ました。
プレヒート皿からガソリンがこぼれても、アル箔の上で炎が上がるので下の芝生が燃えることはありませんし、熱を上に乗っけている鍋底方向に反射してくれるので芝生に対する断熱性も期待出来ます。
最新の取扱い説明書を見ると、ストーブ本体の下に敷く熱反射板でアルミ箔の代用ができそうですが、私が持っている熱反射板は真中に穴が開いているので、燃料洩れと芝生炎上のガードの役にはたちませんでした。


プレヒート

プレヒートが必要というウィークポイントは、慣れてしまえば何という事はありません。
岩場でビバーグしながらMSRを使う人種もあるくらいですから、必要なメンテナンスに手を抜かなければ高い耐久性の恩恵にあやかれる事が出来るので、ポンピングとプレヒートに慣れましょう。
写真ではおとなしいですが、プレヒートの炎の上がり具合、夕闇の中ではなかなか見ごたえがあります。

自分で作ってしまったウィークポイントは、スウェーデンの川沿いのキャンプ場で塩入の湯を燃焼面にこぼしてして火を消してしまった事です。
再点火した時に不安定燃焼になりましたが、 いつもやっていたようにストーブ本体を逆さにして上下に振るというセルフクリーニングを行って安定燃焼に戻り、ジェットの分解清掃は行いませんでした。
多分この塩入りの湯が要因となって、10日後くらいにジェットの分解清掃を試みる状況でジェットが外せなくなってしまいました。
無理にジェットを回そうとしたらストーブとしての機能が失われてしまいそうな事態だったので、不安定燃焼とパワー不足をジェット以外の清掃でだましながら使ってその年のヨーロッパ彷徨は終わりました。
翌2004年5月頃に末期症状が現れてしまい、イタリアとスイスを移動しながら代替品のガソリンストーブを探したのですが、見付ける事が出来ずにランニングコストが高いガスストーブを手に入れて予備品としました。
6月にチェコの首都プラハのアウトドアショップで代替品のWhisperLite Internationale(ウィスパーライト・インターナショナル)を手に入れる事が出来て一安心、これもMSRの製品でDragonFly(ドラゴンフライ)と同様に液体燃料なら何でも燃焼させることが出来るのですが、弱火にすると途端に不安定になり消え入らんばかりになってしまいます。
プラハのアウトドアショップには、弱火でも安定しているDragonFlyも陳列されていたのですが、WhisperLite Internationaleに挑戦しようというムラムラが起きてしまい購入、限りなく鍋料理に近い野菜主体の煮込みで、ポンピングとバルブ操作でせわしない思いをしていました。

再びヨーロッパ彷徨をするときは、DragonFly(ドラゴンフライ)を仕入れて行くでしょうが、燃料がホワイトガソリン限定の軽量で弱火もいけて静かな燃焼音のSimmerLite(シマーライト)にも魅かれます。
ヨーロッパでホワイトガソリンを手に入れるには、自動車用無鉛ガソリンを手に入れることの何倍も苦労することでしょうし、価格もべらぼうなものになってしまうとプラハのアウトドアショップで聞きましたから、SimmerLite(シマーライト)を自動車用無鉛ガソリンで使ってしまおうというちょっと無謀な目論見です。
まめにクリーニングをしてやれば、弱火と静かなストーブの恩恵にあずかれそうですが、ヨーロッパに行く前の検証が必要そうです。

upload:January 24 Wed, 2007
 
 

 

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