海外レース観戦ガイド用品編
Contents
Wear
Stove
Cookware(Cook Set)
Tent
Sleeping bag
Mattress
□Introduction
Giro d'Italia、Tour de France、Vuelta a Espanaのステージをできるだけ多く観戦するのに必要なのは、軽快なフットワーク。この役目はレンタカーが担います。
ささやかな視線と、選手達が味わう苦しみの何分の一かが欲しければ自転車が必要でしょう。

あなたはどちらを選ぶでしょうか?長距離移動はレンタカーの得意とするところ。
閉鎖された峠、山頂へ行くのは自転車の得意な分野。
勿論、両方を駆使することもできます。
1996年にGiro d'Italiaで会ったアメリカ人の中年夫婦は、ドイツで借りたVWパサート・ステーションワゴンに二台の自転車、二人分のキャンプ道具(フルセット)を満載しいていました。
よく盗難に遭わなかったものだと感心するくらいに、一杯載せていました。

私はステージレースの観戦中、雨が降らない限りキャンプ場で夜を過ごします。
そしてその道具類の倉庫を兼ねてレンタカーを借りています。自転車を持って行ったことは一度もありません。
自転車もと欲張ると、トランクルームからはみ出してしまい、町に行ったときに格好の餌食となりそうですから。

キャンプ場で延べ日数にするとかなり過ごしていますから、蘊蓄は蓄えられています。
・・・・ということで私の独断に基づくキャンピング用品のガイドです。




◆Wear
キャンピング用品というよりは、観戦中の服装についてです。
基本的には動きやすく、汚れが目立たないものが良いでしょう。

というのは、あまり沢山の衣類を持っていくのは大変ですし、次のステージの観戦ポイントまでの移動距離が馬鹿にならないくらい有るのが常ですから、夜遅くキャンプ場や、宿に着いてからの洗濯は面倒くさくなってきます。おのずからまとめて洗濯するということになってしまいます。
何着もの洗濯は手間暇がかかります。そんな手間をかけるよりウエアーは2着程度とし、ちょっとの時間で洗濯して時間を節約し、レストランへ食事に行ったり、ゆっくりワインやビールを味わう方がよいのではないでしょうか。

私はそういう考えで2着をうまく(?)使っています。昼間と、夜レストランに行くときに着る服を分けています。当然のこと昼間は着た切り雀となります。
昼間はけっこう歩き回っているので、3日もすればさすがの私でも洗濯をします。
洗濯はシャワーを浴びるときに踏み洗い、というのが多いです。
北イタリアなどの山岳地帯では、夜洗って朝乾いているということはまれですから翌日、車の中は物干し場となります。そして夜用の上着が昼用と取って代わります。アッそうそう、下着は毎日洗ってますよ。
アッそれから、レストランですが、どんな田舎町でも必ず一軒くらいはあります。よほどの山の中でない限り、キャンプ場から歩いていける距離にあったりします。
私のキャンプ生活中レストランは、片手で数えても余裕がある程度しか利用していません。その土地で得られる食材を加工(クッキングともいう)して楽しんでいます。

さてそれでは、どのようなウエアーを持っていけばよいのでしょうか?
Giro d'Italia、Tour de France、Vuelta a Espanaは5月から9月の夏の間に行われています。けっこう暑くなります。
かつてVuelta a Espanaは4月から5月にかけて行われていました。(今年は9月)平地では6月のイタリア、7月のフランスよりも暑く感じたことでした。日本の夏から湿気を取り除いた暑さです。
湿度が低いので過ごしやすいのですが、暑いことには変わりありません。真夏用のウエアーが必要です。

しかし山岳地帯では丈の長いウエアーも必要です。忘れると、寒くてがたがた震えるというようなつらい目に遭います。
あまり厚手のは必要ないと思いますが、1996年のTour de Franceのように7月の雪に遭遇するとえらいことです。
私の1996年はGiro d'Italiaでした。P.so di Gaviaの麓のキャンプ場でまずビール、次はワインと味わっている内に日が陰ってきて、Tシャツからロングスリーブ、フリースジャケットと徐々に着込まざるを得ませんでした。
フリースジャケット1枚くらいは持っていても良いと思います。かさばるのですがしょうがないでしょう。

北イタリアでは雨がよく降るので、レインウエアーが欲しくなります。一つ持っていたら雨の日はもちろん、耐え難い寒さの時にも役に立ちます。
私は、ハイパロン製のポンチョを使っています。デイパックやカメラを体ごとすっぽり覆ってくれて、セパレート型より機能的と思えるからです。



Stove ◆Stove
ガスコンロ(別名:コンロ)はColeman、EPI、PRIMUS、etc(日本製あるいはアジア製)と有ります。
どれをItalia、Fanceに持って行っても、ガスカートリッジの入手には苦労するでしょう。
イギリス、北欧に行くならEPI、PRIMUSが十分に役立つかもしれません。
アメリカならColeman。
どちらも地元ですから、カートリッジも手に入ることでしょう、私は行ったことがないですから保証はできません、あしからず。。
私たちが1991年に初めてヨーロッパ、Italiaに行ったときは最終日まで機会を見つけて探したのですが、徒労に終わりました。

では日本からカートリッジ持っていったらどうでしょう。 航空会社は可燃性のものや、ガスカートリッジを安全上の理由から、飛行機内に持ち込まないようにと乗客に求めています。
それを無視して持ち込むとどうなるでしょう。・・・・・・・何のトラブルに巻き込まれずに、無事に着くかもしれません。
しかし最悪のパターンも有るかもしれません。爆発、炎上→墜落→永久にヨーロッパに着かないというパターンが。

Italia、Fance、SwissでColeman、EPI、PRIMUS以外のガスストーブとカートリッジを求めることは容易にできます。
大きなスーパーマーケット、ハイパーマートに行けばたいていあります。日本ではキャンピングガスの名称でOutdoor shop、Do It your Selfストアなどで見かける青いカートリッジにgazと描かれた、France製のストーブがスタンダードのようです。

日本から持っていくとしたら、無鉛ガソリン(自動車用ガソリン)が使えるガソリンストーブが良いでしょう。
そしてガソリンを入れる、750〜1000ccぐらいの容量の燃料ボトル(Fuel bottle)も必需品です。

では、具体的にヨーロッパのキャンプ場に適するガソリンストーブは?これは諸説有るでしょうが私の経験と、友人達の持っている色々なタイプのストーブの日本国内における燃焼実験、冷や汗と涙の実践に基づき、独断と偏見を持って断じるならば、ColemanのPeak1 Feather Unleaded Stoveです。
REIその他のUSA通販カタログには、Unleadedという名称でなくてDual Fuelとなっていますが、同じものです。その使い勝手の一覧表を下に示します。
全て無鉛ガソリンが使えるタイプです。
- Peak 1 Peak 1
Apex2
MSR
XGK2
自動車用ガソリン
灯油 × ×
軽油、A重油 × ×
アルコール *1 × ×
ポンピング 必要 必要 必要
プレヒート 不要 不要 必要
コンパクト
地面から炎までの高さ High Low Low
トラブル

*1 アルコールを燃やせるストーブは他に幾つか有ります。単一機能のものが多いようです。

MSR製のMulti Fuelストーブは、ガソリンはもちろんのこと軽油、A重油とアルコールもいけるようです。
1996年にItaliaで会ったエンジニア(アメリカ人)が「バーボンウイスキーでも火は着くよ!Masa!」と私のささやかな食卓(というよりも食器)をのぞき込みながら教えてくれました。
火力もMSR XGK2は群を抜いています。パスタを茹でるのに最適です。
「いざ!」と乾いたやつを放り込むと、一瞬静かになるものの、すぐに景気良く沸き立ちます。
これ以上強力なストーブを私は知りません。騒音も群を抜いて強烈です。

しかしながら、MSRは芝生のテントサイトが多いEuropeではお奨めできません。
炎から地面までがPeak1に比べて近いので、悪条件が重なれば、芝生が少しかそれ以上の面積で燃える確率がPeak1に比べると大きくなるかもしれません。
プレヒートが必要というのもウイークポイントでしょう。

Peak1Apex2はPeak1ファミリーの比較的新しい一員ですが、トラブルが私の周りで幾つか発生しました。少しづつ改良はされているようですが、私は使う気になりません。
そしてMSRと同じく地面と炎が近くなります。

Peak1がすっぽり入るほどのコッヘルを探せば、コンパクト化はさらなる進化を遂げることでしょう。

◆Cookware(Cook Set)
コッヘルセット、組鍋(?)とも称します。いろんな素材があります。
しかし軽さという面では、アルミ、ステンレスの二つに集約されるでしょう。さらに軽いのはチタンですが、これは高価でなかなか手がでません。
アルミ製は表面にいろんなコーティングを施して焦げ付き防止策としています。ステンレスは焦げ付いたらワイヤーが入ったタワシでゴシゴシとやればとれます。
アルミの素材そのままのやつもゴシゴシで大丈夫です。ストーブがぴったり入るようなサイズの物を探せば、スペースを無駄に使わなくて良いと思います。

これといったお奨め品はありませんが、私はColemanのPeak1 Feather Unleaded Stoveがうまいこと入るステンレス製の物(SIG、MSR)を使っています。

しかし、ステンレスは熱の伝わり方が均一でないのが難点です。
湯を沸かしてるとあっちでボコボコ、こっちでボコボコと吹き上がってきます。
鍋物でもやろか・・・となると、まめにかき混ぜることが必要でしょう。さもないと翌朝は鍋こすりから始めるざまとなっちゃいます。私はいい加減にしかこすりませんが。
アルミはステンレスよりは熱の伝わり方が均一に近いので少しはよいでしょう、しかしアルツハイマーになるかもしれません?


◆Tent
軽いのが一番です。運ぶのに楽ですし。超過荷物の料金から逃れるのにも少しは、まあほんのちょとは有効です。

軽いテント、それはフィールドをウロウロする人種にとっては、永遠に求めて得られぬ物でしょう。
1kg前後のシェルタータイプ(ゴアテックスタイプが多い)は酔いたばけて(酔っぱらって)潜り込むにはよいのですが、酔いが足らない時はむなしくなります。
居住性も求めるならばドームタイプ。1人で使うとしても2人用が良いでしょう、2kg前後で幾つかの種類があります。

私の推奨はアライテント(RAIPEN)のエアライズ、ゴアライズのシリーズ。2人用で2kg以下です。
OEMでICI、IBS、東京は杉並の「フレンド」などに供給してるメーカーです。

フレンド(たぶんこういう名前だったと思います)の物はたたむと、約33cm。この短さがたまりません。
フルフライシート付きで、寒さにも少しは対処できます。この店は「山と渓谷」誌に広告を載せてます。
私は4年間使ってグランド部に少し穴があき、ポールのジョイント部が開いて割れました。
しかし良いテントです。軽い、短い、これにつきます。

今、使ってるのはIBS(アライテント製)の「ウルトラ・ライト2・ゴア」です。入り口に雨よけのシートが付いていて、フライシートが無くても入り口からの雨の進入はどうにかしのげます。たたむと40cmちょと。
まあ自転車で運べるサイズです。自分なりの評価を与えるべく使っています。
ウルトラ・ライト2・ゴア使用レポート ........23 Dec.1997
二年間ほど使ってみて、やはり不満が出てきました。
グランド部と雨よけシート以外は、ゴアテックス製で普通の雨は充分防いでくれます。
グランド部はPVC処理で完全防水に近いのですが、PVC加工の雨具と同様に内部に結露します。これがけっこう厄介で、シーム部に水たまりが出来ていることもあります。
では、グランド部もゴアテックスにすれば?・・・たぶん破れ易くなるでしょう。
フレンドのエアライズ2に比べて、畳んだときの寸法がちょっと長くなるのも気になります。
けれど、重さは2kgを切っていますし、防水性も良いのでまあまあといった評価となるでしょうか。
ウルトラ・ライト2・ゴア使用レポートその2 ........ 4 Nov.1998
何の補修もせずに使っているうちに、シ−ム部(縫い目)から雨水が染み込み始めました。
そして、今年のGiro d'ItaliaでSwiss に入った途端の大雨と、大風にやられてしまいました・・・シ−ム部から大浸水。
かろうじてマットレスで、浸水から身を遮断できました。

やっぱり完全防水を期するならば、フライシ−トが必要なようです。
テントに付いてきたシ−ム剤を塗ってやると、シ−ムの防水性は復活しました。定期的に塗る必要があります。
老婆心ながら、テントを拡げた時に「パーツを何処かへ忘れてきちゃった!」とならない予防策はポール、本体、フライシート、ペグを全てまとめて1つの袋へ入れることです。
その袋の長さは、ポールの長さに依存します。
短いほうがパッキングの面では有利ですが、ポールのジョイント数が多くなるので、ジョイント部が割れる確率も大きくなります。

Sleeping bag ◆Sleeping bag
シュラフ、その名をズバリ「寝袋」とも称します。
これは、自信を持って羽毛製を奨めます。
軽い、暖かい、いくらでも(?)圧縮してパッキングできる、と三拍子そろっています。重さ1kg位で3シーズン使用できる物がいろいろと有ります。
最近は日本メーカーのカタログにも手頃な値段で載っています。とはいっても定価で2万円以上ですが、使用温度範囲の表示もありますから、選ぶときの目安にある程度はなります。

私は、もちろん3シーズンの羽毛製を使っています。
冬は着込んで潜り込み、夏は掛け布団のようにしています。
Vuelta a Espanaを見に行ったとき風邪をひいてしまい、毎晩シュラフの中に洪水を起こしていましたが、次の晩に使うときは湿り気もなく快適な状態に戻っていました。
11月終わりに信州の木崎湖でキャンプした時は朝方、放射冷却でテントが凍りついていましたが、これでどうにかしのぐことができました。


◆Mattress
冬は地面からの冷気を遮断、雨の日はテントのグランド部からの漏水を遮断、荒れた地面から背中を遮断。
快適なテント生活を約束してくれる便利な品です。

私はTherm-a-Rest(サーマレスト)のUltlalite(ウルトラライト) を使っています。
友人達が類似品を何種類か使っていましたが、あまり評判が良くなかったようです。
Longタイプにした方が良いでしょう。最近は滑り止め加工をしたStaytekというバージョンもあるようです。
Therm-a-RestのStaytek Ultlalite Longは重さ約700g、使用時の寸法は51cm×183cm×2.5cm。収納時の寸法は直径約15cm、長さ約27cmとなります。

びっくりするくらいコンパクトになるということはありませんし、使用時は1インチ(約2.5cm)とそんなに厚くなるわけでもないですが、充分に諸々の遮断物としては働いてくれます。快適な睡眠のために私は常に持って行っています。

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InfoCiclismo(翻訳:Togo Mikio)
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