stage race line
エリート達が、数日間から3週間に渡って(何故か1ヶ月じゃないんですねぇこれが)繰り広げる、巡回パフォーマンス。
ある時は互いに助け合い、ある時は足を引っ張り合う。そして思惑を探り合い、だまし合う。

個人の思惑を主張できるのは、彼らの中でもさらに少数の超エリート。

大部分の者は、自分が身を置くチームの意志の下に働く。チーム内の超エリート「エース」のために身を粉にして、或いはそのようなふりをして来る日も来る日も自転車で走り、自らを消耗させる。
「アシスト」と呼ばれる彼らは、「エース」以上の力を持っている者も多い。
隙あらば、機会あらばと想いながら消耗の日々を車上で過ごす。いずれは自分がエースになるのを確信しながら、或いは自分のポジションに納得しながら、それでも1ステージくらいはトップを・・・と狙いながら。

チームの1員といっても彼らは個人営業。毎年のようにチームを移り、昨日の敵と共同戦線を張る。エリート達はunionのように横につながっているように思われる。

チームも、日本的な視点で見ると安定しているとは言い難い。
年が明けると、いやシーズンが終わると、チームが消滅していたということも多い。中にはシーズン中でも資金面で活動できないという状況に陥るチームもある。
有力なエースがいてもどうしようもない。有名どころでないアシストたちは(有名なアシストは沢山います)悶々とした日々を送ることとなろう。そしてエースは1年を棒に振ることとなる。目先の利く者、交渉能力の高い者、有能なエージェントを持っている者たちは別のチームに移って、その年のつじつまをどうにか合わせる。

エリート達は、観客と共に生きる。閉鎖された峠道を何時間もかけて登ってくる子供、お嬢さん、若者、おばさん、おじさん、老人(たまに居る、閉鎖されてなかったら沢山見かける)。「彼ら」、「彼女ら」、「老若男女」の声援を一身に受けながら、走り抜ける。
■ヨーロッパ的な表現をすれば、こうなるのでしょうか?
エリート達は「彼女ら」「彼ら」「老若女男」の順に声援を受ける。
観客もエリートたちと共に生きる。そんなヨーロッパのステージレースを私は素晴らしいと思う。そのワクワクする雰囲気を五官で感じようと、そして美味い安ワインとハーブの匂いプンプンの料理に誘われてヨーロッパへ向かう。

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Giro d'Italia/1991《1》 《2》 《3》 《4》

Vuelta a Espana/1994  (1) (2)

Last update 28 Aug. 1997

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