タイムリー/ノットタイムリー
Vol.18
Vuelta a Espana 2000 - 見聞


Contents
Bilbao  2 Dec. 2000お足  23 Nov. 2000
Ciudad Rodrigo  13 Nov. 2000 移動......車  8 Nov. 2000
移動  2 Nov. 2000 宿  25 Oct. 2000
観客  16 Oct. 2000 Alto de L'Angliru  28 Sep. 2000
Vuelta a Espana 2000 予想  27 Aug. 2000 Vuelta a Espana 2000 へ  18 Sep. 2000
2 Dec. 2000
Bilbao
ユニークな建物(photo 24kB)この町にあります。
雑誌などで紹介されていたようなので、ご存知かもしれません。Museo Guggenheim(グッゲンハイム美術館)です。
美術館のオフィシャルページは、http://www.guggenheim-bilbao.es/idioma.htmです。
http://www.bm30.es/homegug_uk.htmlにもその建物が載っています。
今年のスペインで気に入った町の1位に、バスク国のBilbao(ビルバオ)を挙げた理由がこの美術館です。
宿のシーツが臭くて外がうるさかったけど、夕食が高かったけど、地下駐車場が高かったけど、全て許せます。この美術館がこの町にあるという事だけで。
海から14km、ネルビオン川Rio Nervionの河口を形成するビルバオ湾の奥、ビスカヤ県の県庁所在地であるこの町は、巨大な工業地帯の中心である。19世紀の中葉から産業は付近の山から採れる鉄鉱石の採掘と共に発展してきた。
とミシュラン・グリーンガイドに書かれています。
工業地帯の中心である事と引き替えに、Rio Nervionは汚染されたようです。しかし、それを元に戻すべくプロジェクトが進行しているようで、川の両岸に堤防より少し下げて広いプロムナードが作られていました。
そこを歩くと、他の町でもそうであるように市民と旅行者の寛ぎの場である事が判ります。
ほんのわずかのドブの匂い。工業地帯の中心であるからこそ出来た、出来つつある水辺の再生........どこの国でも、金の工面がつけられる町は、ドブの匂いから本来の水の匂いを取り戻せるのでしょうか。

グッゲンハイム美術館は、Rio Nervionの左岸の新市街側にあります。右岸は、14世紀から形作られた旧市街です。(ミシュラン・グリーンガイドより)
高速道路から町に降りて、グッゲンハイム美術館に向かうと、やがて煉瓦色の建築の間から眩いばかりに光を反射した外層が見えてきます。空気が澄んでいれば背後の緑との対比が面白そうです。
美術館は巨大な猫(phto 27kB)が守っています。
頭が黒い大きな鼠も捕らえてしまいそうなくらいの迫力です。もっとも、スペインの大きな鼠は「黒」とは限らないですね。
その中は、「広い」「コンパクト」が両立されているように思いました。
常設展と特別展の区別はつかなかったのですが、広い部屋ではコンテンポラリーアートが空間を贅沢に使い、コンパクトな部屋ではピカソの素描や版画らしきものが独特の空間を作っていました。
他にもモディリアーニ、モンドリアン、カンディンスキー、ミロ、などなどヨダレが出てしまいそうで、全てにゆっくり対面していると半日は掛かってしまいそうです。
オフィシャルページにも展示物の一部が載っています。
もちろん、ルネッサンス頃の古典絵画も展示されていました。しかし、私がこの美術館を訪れた目的は、コンテンポラリーアートにありました。
Vuelta a Espanaの合間に、ピレネー山中のAndorraから車を飛ばして行ったかいがあり、十分に満足できました。
再入場できると説明してくれましたから、もう少しゆっくりと一日くらい掛けて、途中で食事でもして彼らの作品を眺めるのもいいでしょうね。

Collezione Peggy Guggenheim という小さな美術館が、イタリアのVeneziaにあります。
その建物は、アメリカ人の芸術擁護者でコレクターでもあったPeggy Guggenheim が、Canal Grande(大運河)に面した18世紀の貴族の舘を買い取りVeneziaでの住居にしていたということです。
BilbaoのMuseo Guggenheimの姉妹美術館で、規模は比べものにならないくらい小さいです。
Veneziaの他の美術館で、これでもかというふうに見せられるルネッサンス前後の絵画、宗教画に辟易して来る頃にそこを訪れると清涼感が得られます。展示部屋からすぐの舟付き場に出て風にあたるのも気持ちが良いです。
ルネッサンス絵画も好きですけど、数をこなすと少しずつ重くのしかかって来るのです。宗教画は2、3枚見ただけで重くなってしまいます。
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23 Nov. 2000
お足
ヨーロッパ諸国の思惑が見事に外れ、ユーロとUSドルのシーソーゲームは当然の如くにUSドルが勝ち、ユーロに連動したペセタはかなり安くなっていました。お蔭様でスペインはリーズナブルに楽しめました。

滞在費(宿代、食事代、ガソリン代 etc.) ¥115,000
レンタカー ¥ 60,000
航空券 ¥160,000
total ¥335,000


これで3週間、満腹感と気持ちの良い酔いを友に毎日ちゃんとベッドで寝ていました。
............キャンプ場のグリーングラスにテント張って、マットと寝袋でというスタイルをとらなかった事に、何度か禁断症状が出ていました。
キャンプを一度もしなかったのは、キャンプ場の料金がHostal、Pencione に比べて格安という訳ではないからです。
イタリア、フランスでは、宿に泊まるよりキャンプ場の方が格安なので、せっせと利用しています。

¥335,000 という「お足」はここ数年間で一番の安さでした。
過去の「お足」は、いずれも21〜24日間の総計で、主にキャンプ場で過ごした結果です。
1997 Vuelta a Espana ¥362,000
1998 Giro d'Italia ¥400,000
1999 Giro d'Italia ¥374,000

どうですかね、高いでしょうか?毎年こんなに使ってていいものでしょうか?
大した稼ぎがある訳でもないのに、これだけの金を3週間につぎこんでいくのは、もったいない事といえるかもしれません。
まぁ自分では、もったいないなんて少しも思っていませんけどね。
毎年、シーズンが終り選手の移動、新チーム結成、チームの消滅、グランツールの日程等がWebニュースとして流れてくると、もぞもぞとしてきて「来年はGiro 。トスカーナまで一気に行ってBarで赤ワイン、白ワイン、ビール飲んで、猪のサラミ食べて、都市巡り。それから北に戻って山岳ステージや。」などと、おおまかなスケジュールを立て始めます。
そうです、総距離と山岳が減っているのが少し残念ですが、2001年はGiro d'Italia を見に行きます。

さて、いつもならば、「お足」をトラベラーズチェック(T/C)に変えて、現地の銀行で換金していましたが、今年は主にCITIBANKのWorld Cashを使いました。
出国当日、関空のサービス窓口で¥1,050と引き替えに貰ったカードを使い、空港内にあるCITIBANKのATMで現金を日本円で振り込みます。
スペインで、提携先のCirrusのステッカーをCD/ATMに見つけたならば、手数料¥200でスペインペセタが手に入ります。たいていのCD/ATMにVISA、Masterのステッカーと共にCirrusのステッカーが張られていました。
日本のCD/ATM よりもスペインのそれは働きもので、夜中でも休日でも休みなくお客さんを呼び込んでいました。
セキュリティーがしっかりしているところは、ドアの横にカードを滑り込ます溝が付いていて、磁気記録を確認してからドアロックを解除していました。道路に面し申し訳程度のサイドカバーが付いた、吹き晒しのCD/ATM もたくさんありました。
田舎町にも必ずありますから、夕食後にほろ酔いかげんで翌日から数日間の行動費用を無利息で引き出すという、日本の田舎では考えられないような芸当が出来ました。無利息!!ってのがいいですね。
銀行の営業時間を気にする必要がないCITIBANKのWorld Cashは、大変便利でした。
余ったお金は、関空のATMを使い日本円で引き出す事が出来ます。
成田にもCITIBANKのATMと、申込窓口があるようです。
CITIBANK JapanWhere Money Lives
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13 Nov. 2000
Ciudad Rodrigo
何か、懐かしいような気持ちになるウィンドー(photo 27kB)の飾り。スペインの田舎町の小さな店は、子供達を引き付ける品々をウィンドーに飾り、楽しそうなシールをペタペタと張り付けています。
その中に、少し褪色しかかった切抜きらしきものがあります。いつの年かわかりませんが、県都 Salamanca で Banesto の誰かがステージ優勝した瞬間のようです。
私は、よほど特徴が有る顔でない限り、名前と顔を一致させる事が出来ないんです。情けない事です。
自転車選手の姿が、子ども向けの店のウィンドーに張られてる、いいですねぇ。
店の主が自転車好きなのか、写っている選手の親類、縁者、友人なのか、それは分かりませんが、右下の枠内に居る叔母さんが鍵を握っているような気がします。

ポルトガルとの国境に近い Ciudad Rodrigo(シウダー・ロドリーゴ) という人口1万5000人足らずの小さな町の城門から、旧市街の中心にあるPlaza Mayor(マヨル広場)に向かう通りにこの店がありました。
Vuelta a Espana のゴールでなければ、訪れる事はなかったであろう町です。
ポルトガルへ向かう国道から、新市街へ入るのにはインターチェンジのような立体交差か、幾つかのロータリーを経なければなりません。
Vuelta a Espana 終盤の第18ステージ (Bejar - Ciudad Rodrigo)は、Ciudad Rodrigo の新市街にゴールラインが設けられていました。
そこから、旧市街へはほんの一歩き........といっても、スペインの旧市街によくあるパターンで、城壁に向かって登っていかなければなりません。
今年のオリンピック銀メダリストの Alexandre Vinokourov(KAZ/Deutsche Telekom) がこのステージで優勝しました。

カスティーリャとポルトガルの間の係争に全てに関わったと「ミシュラン・グリーンガイド」にあります。
町の城壁は幅広く、上をぐるっと一周出来そうです。私は半分くらいで降りて Plaza Mayor に向かいました。
すでに昼食時を終っていたPlaza Mayor(photo 40kB) は、犬の糞が見当たらない、小便臭くない、と好ましく落ち着いた雰囲気でした。広場には数台の車のみで、日陰側のBar にVuelta a Espana の関係者が数人たむろしていたくらいでした。
眠った町、数人が並んで歩ける城壁の上から眺める、乾燥したスペインの大地。いいですねえ、小便臭くなかったから言う事なし。
今年のスペインで、気に入った町の5番目くらいにカウントされました。
機会があれば再び訪れるでしょう、広場でビールでも飲んでゆったりと過ごすと、その印象が違ってくる事でしょう。旅行者の勝手な思い込み、勘違いで、気に入った町No.5から滑り落ちるかも知れません。

今年、気に入った町
No.1 - Bilbao
No.2 - Salamanca
No.3 - Avila
No.4 - Leon
No.5 - Ciudad Rodrigo と Cuenca が拮抗。
小便臭い、犬の糞が転がっている.......のはスペインの町で、ごく一般的な事でそれほど気にする事はありません。
すぐに、前方の目標となる建造物と、前方3mくらいの路面を交互に見る技が身につきます。
スペインのみならず、イタリアでもフランスでも、その技は路上散策の有力な武器になるでしょう。
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8 Nov. 2000
移動......車
幹線道路、田舎道の区別なく、車のスピードは路面状況に依存するのがスペインに限らずラテンの特徴でしょうか。いやぁ、まぁ日本でもそうですねぇ。
道路が街の中を通っていれば、手前から70km/h、50km/hという標識が現れてきます。100km/h以上のスピードから一気に落せという事です。
100m程度の距離でそこまで落すのは、気合いが必要でした。日本でそれやるとちょっと怖いです、事故っちゃいそうです。
枝道から幹線に入る時も気合いを必要とします。0km/hから100km/hまで一気に加速しなければ、幹線道路をクルージングしている車に邪魔になります。

信号の無い郊外の道、海岸線と山岳地帯以外ではひたすらに真っ直です。
街と街の間は建物がほとんど皆無に等しいです。
たまにガソリンスタンドやBarがあり、そこで人間と車に潤滑剤と燃料を補給します。
潤滑剤はcafeだったり、ミネラルウォーター、ビール、リキュールだったりします。
ゆっくりと昼食を食べる時間がなければ、Barでサンドイッチを作ってもらい、それに食らいつきます。細長く堅いパンに挟むのは、トマト、ハム、チーズ、サラミなどを組み合わせたり、単独だったりします。
私は、トマトとハムを挟んだやつが好みです。これをビールかワイン(赤白問わず)で流し込むのがいいです。
スペイン人はアルコールに強いらしく、道路沿いのBarでもよくビールを飲んでいました。乾いた暑い土地柄なので10分もすればビール程度のアルコールは、すぐに飛んでいきます。
ある街のBarで、買いもの帰りの叔母さん(オネーサンかも)がカウンターで、スコッチのハイボールをぐいっと飲み干し車で走り去りました。
郷に入っては郷に従えということで、道路沿いのBarでサンドイッチとビールをついフラフラッとやってみたいですねえ。そのフラフラッを日本で身についた「良識」がかろうじて押しとどめます。
昼食で我慢しきれずにビールを飲んだ時は、リラックスして一眠り。そしてリフレッシュした気持ちと体で、オーバー100km/hで次の目的地へ気持ち良く向かいます。

中世からの城壁に囲まれた旧市街に入ると、信号機は全くといっていいほど有りませんでした。
その周りの新市街には、いくつか有りますが、決して日本のように街のオーバーデコレーションの如くに、そこかしこにつっ立ってるということは有りません。
前方上方に赤信号を認めて停止線に止まると、赤信号は視界から消えてしまいます。
「えっこりゃ、どうなってるんや。」と思わずバックギアに入れてしまいそうです。「見えなきゃあしょうがない、後ろの車のクラクションを期待しようか。」
ちょっと焦って、周りを見回すと停止線付近にある控え目の縦型信号機が目に入ってきて、「やれやれ、よかった」
縦型信号機は、大きさと共に光り方も控え目で見落としてしまいそうです。
街と街の間の道路は、信号機よりロータリーの数のほうが圧倒的に多いです。
ロータリーは便利です。
手前で行き先を表示板に見つけられなくても、取り敢えずロータリーに入って、ぐるぐる回って行き先を見つければいいのです。
行き先が表示板になければ、広い路側帯を持つ道路に入って行きおもむろに地図を広げれば良いのです。
道路脇の標識と道路表示板には、道路番号が必ず明記されています。これとMichelin地図で、迷って入り込んだ道路からリカバリー出来ます。

Michelin地図は、赤表紙でNo.441からNo.446まででスペイン全土をカバーしています。
たった6枚で広大な大地を表現するのですから、縮尺は40万分の1です。その縮尺のせいか、Vuelta a Espana の山岳ステージゴールとなる小さな山の名前は載っていない事が多いです。
Michelinのフランス地図とTCI(Touring Club Italiano)のイタリア地図は、20万分の1の縮尺です。これだと小さな峠、山の名前が載っている確率がぐんと増えます。
しかし、おなじ地図のサイズで縮尺を20万分の1で作ってしまうと4×6=24枚 というとんでもない数になってしまって、ツーリストが持ち運ぶには不便になるでしょう。細かいところがあやふやな事には目をつぶって使えということですか。
日本の一部の市販地図に比べれば、細部もはるかに正確に描写されています。
メイドインジャパンは、日本国内の地図なのに何故、あんなにいい加減か疑問です。もちろん、ちゃんとした地図を作ってるところも有ります。
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2 Nov. 2000
移動
3度目のスペイン、都市間の移動にMadridの空港に降りてからの4日間は鉄道を使いました。1991年からヨーロッパを訪れていますが、初めての鉄道による長距離移動でもありました。
鉄道を使うと、レンタカーよりも予算が安くてすみますし、シートに座ってビールやワイン飲んで、サンドイッチ食べてうつらうつらしていても無事に目的地に着きます。
終着駅まで乗るのであればボーとしていても、置き引きさえ気をつけていれば大丈夫です。
駅名のアナウンスがありませんから、途中下車する時は停車のたびに窓から駅名を確認していなければなりません。これがちょっと厄介ですが、点から点への移動という事に関しては、車よりずっと楽です。
でも自由度が少ないんですよね、面白そうな町を見つけても途中下車してしまったら目的の町までもう1日見込んでおかなきゃあどうしようもなくなります。

Madrid からCuenca(photo 48kB) という町に国鉄(RENFE)で向かった時は、単線という事もその理由にあるのか、1時間遅れで到着しました。
ミシュランの地図でMadrid からCuenca までの距離を拾うと170kmです。気合い入れて車で走れば、2時間を切る位だと思います。
ほぼ同じ位の距離の移動をスペイン国鉄で行なうと、時刻表では2時間20分ほどの所要時間です。
遅れた時間を足すと、3時間20分かかった事になります。
車窓を枠にした絵を眺めながら、おしゃべりをしながら.........だと退屈もしないのですが、一人旅だと「黄色い大地」の絵が続くスペインでは1時間もすれば飽きてくるでしょう。
私は、「黄色い大地」に結構満足していましたけど、緑濃いリアス式海岸が続く北部ならもっと満足した事でしょう。けれど、そのあたりでは車を使っていたので線路が海岸沿いに有ったのかは判りません。

Vuelta a Espana 観戦に鉄道を使う場合は、スタートとゴールのみを見る事に限定すればそれほどの困難とはならないでしょう。
小都市にも必ずHoatal、Pencione などの宿がありますから、早めに宿を確保しておけば薄闇の中、道路沿いの宿を探して走り回る心細さも避ける事が出来るでしょう。
私..........何度も走り回りました。
鉄道沿いの都市でスタート、ゴールが多いようです。スペイン国鉄(RENFE)のwebサイトを訪れて都市名で検索すれば、タイムテーブルと列車の種別の料金が判ります。

鉄道駅がなくてもスペインは、バス路線網が発達しています。渋滞とは無縁の様な道路網のおかげで、バスでも鉄道と変わりないくらいの時間で目的地へ着けるようです。
北部でも、中部、南部でもALSA 等のバス会社の大型車を見ました。大きな都市間は鉄道と同じくらいの本数があるようです。
web で検索して、鉄道とバスのタイムテーブルを調べて行けば、現地での苦労が減る事でしょう。

毎度ながら、Festina 裁判
VelochouchouLE JOURNAL
Naco's Bicycle Page特ダネニュース
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25 Oct. 2000
宿
一日のレースが終った後、選手たちは自転車であるいはチームカーでその日の宿に向います。
宿が見つからないのか、国道を行ったり来たりしている選手もいます。
スペインの有力チームがスタート地点やゴール近くの高級Hotelに泊まっているのを何度か見ました。
ONCE、Banesto はパラドールもしくは、それに相当する高級ホテルに泊まっていたようです。
国道を100km/h位で宿を探して走っていると、チームカーの集団が屋根にロードレーサーを満載して後ろから追い付いてきます。時間に余裕があった時に後ろに付いて走ってみると、軽く100kmは移動していました。
その行き着く先は、都市郊外の国道から少し離れたHotel(オテル)でした。
私のイメージでいえば、Hotel は高級、高額な宿です。
宿代がオーガナイザーから出るのか、自前なのか判りませんが、それなりの環境のところに泊まるようです。

私は、スペイン入りした夜に日本で予約していたHotelに泊まったきりで、後は行き当たりばったりでリーズナブルなHostal(オスタル)とPencione(ペンシォーネ)に泊まっていました。
予約したマドリッドのHotelは6,000円でしたから、現地通貨(pts:ペセタ)で10,000程です。
PencioneとHostalはpts1,200からpts4,200と料金に幅がありました。pts1,200のPencioneは部屋に明かり採りの窓しかなくても、外にあるシャワーのノズルからはちゃんと湯が出ました。
pts1,200の宿というのは、さすがに不安でした。ニスを塗った梁の間を漆喰で固めた部屋は天井まで2mちょっと、裸電球1つだけで玉切れしたら真っ暗闇、牢獄とはこういうものかと、まあ白い天井だから、720円だから、と納得していました。

安さに喜びを見出すスペイン生活の中で、Hotel はpts5,000は下らないだろうという事で、良いロケーションにあるのを見つけても、値段を聞く気にはなれませんでした。
そんなことで、チームが泊まっているHotelを見つけても、横目に見つつ通り過ぎるだけでした。

ただ、1度だけチームが泊まっていた宿に同宿した事があります。
第10ステージのゴールLa Molinaが終ってからコースを反対方向に車を走らせ、翌日のゴールAndorraに向かいながら宿を探そうと幹線道路まで戻ったところで、大きなHostalとPoltiのチームカー(photo 29kB)が目に入ってきました。
「へー、PoltiはHostalに泊まるのか。」「高いんだろうか。」と興味しんしん。ロケーションも良いので料金を聞くと、pts3,900・・・・・ワイン込のMenu(定食)がpts1,300・・・・・バス、トイレ付き。
前日までの最高料金pts3,500よりちょっと高めで少し躊躇しましたが(その差240円、ちょっと情けない)、小奇麗なフロントを見て決めました。
比較的広めのツインルームからの見晴らしも良くて、TVまでついていました。
プロサイクリングチームでも、約3,100円のリーズナブルな宿に泊まる事があるのですね。たぶん食べ物のレベルは我々一般客より上でしょうけれど、リーズナブルな事には違いないです。

宿泊客が数組、静かにRestauranteのそれぞれの場所でエネルギー補給にとりかかっていると、仕切られた別室にPoltiの連中が入って行きます。
私の隣のテーブルについたフランスの叔母さん2人は、厚いスクラップブックを3冊テーブルの端に置き、通りかかるPoltiの連中を呼び止めて笑みと共に写真を渡していました。
Virenqueが通りかかると、笑みが体全体に広がるが如くに声を掛けて数枚の写真を渡し、Virenque もいやがるふうでもなく相手をしていました。
Virenqueが来る前にスクラップブックを見せてくれましたが、Virenqueの写真、Virenqueの切抜き記事、Virenqueのプロマイド・・・・ フランスの追っかけ叔母さんたちでした。
彼女たちは、Virenque だけでなくHerve や他のチームメイト、スタッフ達とも顔見知りのようで言葉を掛け合っていました。
恐るべし、叔母さんたち。全てフランス語でイタリア人たちともコミュニケーションをとっていました。
その他の客は、プロサイクリストの集団という事は十分に判った上で、あれこれと声を掛けて干渉するわけでもなく、静かに見守っているというふうでした。
Virenque.....裁判
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16 Oct. 2000
観客
この前L'Angliru の最高勾配が良く分からないと書きました。
CS放送を見ていて分かったのですが、私が居たところから更に3km登ったところに23.5%の勾配があるようです。
http://www.teamwirsbo.se/probike/vuelta99/alix.htmlに勾配図があります。
もう少し気合いが入っていたなら、ゴールまで歩いて上がっていたでしょうけれど。
ユニークな宿を出たのが10時過ぎ、下の町に着いてからもウダウダとしていて登り始めが13時頃、これじゃあ上まで着かないのはあたりまえです。12kmを2時間で登るなんてことは、今の私には出来ません。
着いてすぐ登り始めていたなら、上まで到達できていたでしょう。「今度」があれば、気合い入れて登り詰めてみます。
そして、選手たちがもっと苦しむさまをリアルタイムに見てきます。

L'Angliruで私の側を歩いていたスペインの観客たちは、早足に感じられるくらいのスピードで登って行っていました。年寄りか子供以外の大部分の観客がそうでした。
足の長さの相違もあるでしょうが、山登りに適さない様なシューズを履いていてもそれなりのシューズを履いた私より幾らかは速かったです。老若男女を問わず強靭そうな足腰でした。
彼ら、彼女たちは手に手にビニール袋を持ち登っていきました。
袋の中はたぶん、パンとその中に挟むハム、サラミ、チーズ、ミネラルウォーター、ビール、ワインだっただろうと想像します。
果物も入っていたかもしれません。
ハムとスライストマトをパンに挟んだボカリーリョが旨いんですよ。ビールとワインに合います。14時過ぎになってしまう昼食は大抵これでした。

L'Angliru 迄の山岳ステージでの観客は、他のグランツール(Tour de France、Giro d'Italia)と比べるのが、はばかれるほどの淋しさでした。
観客たちは、選手が来れば夢中で声援を送りますが、それ迄は例外も少しはあるもののおとなしく、行儀良くしていました。それはコース整理の警官たちの愛想なさ、き真面目さ、高圧的ではないかと見えるほどの規律を観客に求める彼らのせいもあるのではと思いました。
Andorra での第11ステージOrdino-Arcalisの山頂ゴールは、自国でないこともあるのかゴール200m前には数える程しか観客が居ませんでした。
「Vuelta は最後の1週間で盛り上がる。」ということを言った人がいたらしいですが、まさにそのとうりですね、L'Angliruで静かなる観客たちが弾けました。
10m位の間隔で並んだ警官が、弾けたのを群れに戻そうと走り回っていました。
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28 Sep. 2000
Alto de L'Angliru
1カ月前に「地味なGilberto Simoni」に注目してると書きました。
総合優勝はIgor Gonzalez Galdeanoという予想は見事に外れましたが、Simoniが苛酷なAlto de L'Angliru でステージ優勝しました。
歩いてゴール手前5kmまで上がった実感として Alto de L'Angliru(1560m) の苛酷さは、Giro d'Italia最大難所といわれるPasso del Mortirolo(1852m)よりも上だと思います。
足首が思いっきりストレッチングされ、膝を上げて歩くのが苦痛でした。・・・・・・というのは少し大げさですが、そう表現したいくらいの勾配でした。
最大勾配は21.5%と23.5%の説がある様で、麓には23.5%という看板がありました。(photo 25kB)
ワンディレースならともかく、21あるステージの内の第16ステージのゴール近くにこの勾配が含まれます。

20%を越える勾配は、ロードーレースのエリート達にもかなりの負担の様で、Fassa Bortolo チームではリアに30Tのギアを調達したようです。(フロントのインナーは39T)
Meccanico KOKI2000/9/12 ヴェルタ16
永井氏によると、Kelme チームなどはフロント3枚リア12〜25T を使っていたようです。
まるでMTBのようなギアレシオで激坂に挑んで行ったのですね。

その激坂が終ろうとする辺りに居座って、彼らとその勇姿を見ようと集まった観客を眺めていました。
Simoni とリーダージャージを確実にしたいHeras、山岳スペシャリストはともかく、他の選手は厳しい表情のヒラヒラ状態で数人の押し屋さんの世話になっていました。
厳しい勾配で、押し屋さんも5mくらいで交替していました。
次から次に来て苦しそうな雰囲気を体全体に漂わし、それを要求しているような選手を押す彼らの体力には脱帽します。
嬉しそうに押し続ける彼ら、ほんとご苦労さまです。
「やっぱり押し屋さんや、これがあると面白い。」面白さが見つからなかったVuelta a Espana が、L'Angliru の押し屋さん達のおかげで一気に明るくなってきました。

けれどねえ、最後の選手がSimoni から27分程度の遅れですから、何か物足らないんですわ、終ってからの移動は少しだけ楽ですけどね。
勝手きままな観客としては、もっとヘロヘロになった選手の姿を見たいのです。
1ステージの距離が短いですねえ、アマチュア並の距離ですから、せめて200kmを越える距離を山岳ステージの半数くらいには混ぜて貰いたかったです。
・・・・・・L'Angliru ステージに200km以上を割く。そりゃぁきつ過ぎるかな、でも見ごたえ十分になります。そういうエゲツナさ好きですねえ。
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27 Aug. 2000
Vuelta a Espana 2000 予想
Vuelta a Espana の優勝者は誰か?
ドイツ人Jan Ullrich と言ってしまえば、簡単です。
65%の確率でそうなると思います。彼は、ベスト状態まで夏痩せ?してきたころだろうし、65 と言う数字がなんとなく好みだし..............と言う事でJan Ullrich が本命でしょう。

でも、何か面白くないですねえ。
大胆予想をやってみます。
今年限りで解散するチームVitalicio Seguros、Tour de France で暴れ回った最年長?チームKelme-Costa Blanca、この2つのチームの誰かが優勝するのでは、というささやかな希望と期待を持っています。
といっても18人の中の1人なんて、「大胆予想」じゃあないですね。
もう少し絞ると、Vitalicio Seguros のコロンビア人Victor Hugo Pena か地元のIgor Gonzalez Galdeano でしょう。
去年、総合2位になったIgor Gonzalez Galdeano はその去年の成績から十分期待できると思います。
コロンビア人としては、異色の個人TTに強いVictor Hugo Pena は今年のGiro d'Italia の個人TTステージで優勝しています。山岳も強そうです。
土曜日から始まったVuelta a Espana の第1ステージ(個人TT 13.3 km)では、Victor Hugo Pena がAlex Zule から15秒遅れの4位、Igor Gonzalez Galdeano が28秒遅れの6位、まずまずの滑り出しです。
滅びゆく共同体Vitalicio Seguros がVuelta a Espana の優勝という名誉の為に、一人の為に協力していくことができれば、その予想も大当たりとなるでしょうが.............個人技に走りそうな気もします。.............監督の手綱を期待しています。

優勝に絡むことは難しいかもしれませんが、絡んでくれたら嬉しいGiro d'Italiaの山岳で見せてくれた「ジミ」なイタリア人Gilberto Simoni にも注目したいです。
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18 Aug. 2000
Vuelta a Espana 2000 へ
Vuelta a Espanaそのものは正直なところ、他のグランツールに比べ観客の熱狂度の面でいえば一段落ちるように思えます。
そのせいか山岳ステージへのアクセスは割合簡単です。
山岳ならともかく、平地で一瞬に過ぎ去る選手たちの表情、それを深く伺い見ることを残念ながら私には出来ません。
しかし、昨年CS放送のTVEチャンネルで見た彼らの表情は真剣で、一生懸命のようでした。
今年は、すぐ後にオリンピックを控えています。それがVuelta a Espanaにどのように影響するのか、良い方向に向かう事も、逆の場合もあるでしょう。
エース達が、オリンピックを視野の内に入れて半端な動きをすれば、新しい勢力が台頭してくるでしょうから、それなりに楽しめると思います。

スペインではVuelta a Espana観戦が半分、観光半分となりそうです。
イタリアなら、Giro d'Italia観戦が2/3から3/4となりますが、Vuelta a Espanaがそうなる事はこれからもないと思います。
その理由は何度か書いていますが、スペインの風景、気候、建物、食べ物などの多様さに惹かれてしまうからです。
テントが朝露に濡れる程に緑したたる北部の大西洋沿岸、熱したフライパンに投げ込まれたような南部のアンダルシア。
カーニャ(生ビール)と一緒につまむ、緑や茶色そして黒のオリーブの実。
ニンニク、ハーブ、ワインビネガーと一緒に漬け込んだやつは、忘れずに味わいたい一つです。

予定では8月29日夜にMadridに着き、4日間は鉄道でCuenca、Valencia、Barcelona 等をうろうろします。
9月3日の個人タイムトライアル(Barcelona)から観戦です。

北部のナバーラ地方、バスク地方、カンタブリア地方、アストゥリアス公国を主に車を走らす事となるでしょう。
ヨーロッパのスーパーマーケット・アンドラ公国、有名なワインの産地ラ・リオハ地方も外せません。何たって関税無しの国と、旨いワインですからねえ。
この辺りは、Vuelta a Espana観戦と観光の二股です。
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Vol.17[Tour de France 2000] Vol.16[Giro d'Italia 2000]
Vol.15[Primavera 2000]Vol.14[Intermezzo..... 1999 - 2000]
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