タイムリー/ノットタイムリー
Vol.22
Vuelta a Espana 2001


Contents
   N260  10 Dec. 2001
Andorraにて  16 Nov. 2001 オーラ  6 Nov. 2001
お足  29 Oct. 2001 Klaus Moller  21 Oct. 2001
収穫  15 Oct. 2001   2 Oct. 2001
Zabel3  14 Sep. 2001 選手たち  6 Sep. 2001
10 Dec. 2001
N260
バルセロナ到着の翌日にZaragozaでゴールをまともに見れなかったのを悔やみながら、一旦北へと向かい陽がとっぷり暮れてからHostal(リーズナブルな宿)に入りました。
その翌日、Vuelta a Espanaの休養日にピレネーを望みながら西から東へと第10ステージのLa Molinaを目指してN260(国道260号線)の360kmほどをレンタカーで駆け抜けました。
N260はピレネーの支脈というべきか、ピレネーそのものというべきか、ともかくそのあたりの1000m級の尾根の峠を越え、谷筋に降りてからまた峠へとアップダウンを繰り返して、スペインらしかぬ緑濃く穏やかで親しみを持てる風景の中を、広すぎず狭からずの道幅で行き交う車も疎らです。
自転車でそこを3,4日かけて走るのもおもしろそうです。

穏やかな表情の峠は、1994年のVuelta a Espanaのコースにも組み込まれていました。
それは、AndorraのCategoria Especial(カテゴリー超級)のEstacion Ordino Arcalis(2230m)がゴールというステージの翌日、N260上に存在するカテゴリー1級のPort Canto(1740m)、2級のPort de Perbes(1350m)、2級のColl de Espana(1410m)をこなし、最後に超級のEstacion de Cerler(1930m)にゴールするというタフなステージでした。
Estacion de CerlerはN260上に無いのでそこには行っていませんし、1994年にも訪れていませんからそれだけに、どんなところか興味がわきます。N260の峠のような穏やかさは、感じられないかもしれません。

穏やかな表情を見せるN260の沿線に小さな村が点在し、必ず教会があります。
(photo:31kB)

日本に帰る前日にバルセロナで、語学留学をするという年輩の日本人の方から聞いたのですが、この辺りはゴシック以前のロマネスクといわれる形式の教会の宝庫のようです。
そのような小さな村の教会で何百年かの時を経たフレスコ壁画は損傷が激しく、近年になって壁ごと剥ぎ取られバルセロナのモンジュイックの丘に在るカタルーニャ美術館(Museu d'Art de Catalunya)に保存され、元の場所にはレプリカが置かれているということです。
カタルーニャ美術館でフレスコ壁画と、それがあった位置を忠実に再現した張りぼての教会内部のレプリカを見ました。
過去の資産を2倍に薄めて後世に伝え、観光客がN260沿いなどにある小教会に訪れて決して広くない道路脇に車を溢れさせないような仕組みを作った合理性、これがカタルーニャ的なのかスペイン的なのか、門外漢の私には想像は出来ても決めつけは出来そうにありません.......合理性という言葉も適正でないかもしれません。
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16 Nov. 2001
Andorraにて
スキー場がゴールのステージは、たいていが行き止まりの道ですから、全ての選手が登り終わり最後尾の車が通りすぎると、道路脇に停めてある観客の車が一斉に下り始めます。
その下りの列にはチームカー、オフィシャルカー、警察車両などが加わります。バリケードなども手際よく片づけられて翌日のゴール地点まで運ばれます。
沿道の駐車場の整理をしていた警官の終業は、かなり時間が経ってからで、お迎えの車が降りて来るまで彼らは弁当が入っていたであろうバックを肩から提げて所在なさげに佇んでいます。
Vueltaではたいていの場合、上の方の駐車スペースから観客の車を埋めていくように警官が誘導しますから、早い時間に登っていけばゴールまであまり歩かなくてすむところに駐車できます。
下りの渋滞も大したことがありません。「あれっ、流れが止まってる。」という時は道路を横断して設置されているゴールまでの距離などを表示したビニール製ゲートの空気を抜いていたりします。
グランツールでの酷い渋滞のランキングは、
1.Tour de france
2.Giro d'Italia
3.Vuelta a Espana
であることには、疑いの余地がないでしょう。観客数が他のグランツールに比べて少ないということもあり、「観戦が楽なVuelta」です。

第12ステージ、個人タイムトライアルのゴールが置かれたAndorraのスキー場から下ってくる車たちを昨年のVueltaから使い始めたデジタルカメラ(IXY-DIGITAL)で流し撮りの練習をしていました。
一般的なデジタルカメラもそうなのでしょうけれどIXY-DIGITALは、流し取りを行う場合タイムラグ(時間遅れ)を見越して、写したいポジションのかなり手前からシャッターボタンを押しながらカメラを振ってやらなければ、通りすぎた被写体を画面の隅に置くこととなります。
使い方のこつを思い出すのにちょっと時間が掛かるものの、印画紙にプリントするといういうことがあまり必要でなくなって来ている私にとって、その場所で写り具合が分かって撮り方の修正ができるデジタルカメラは魅力的です。

画面の右に逃がした被写体が少しずつ中心近くなって、流し撮りの練習が結実し始めた頃に見慣れない車が降りてきました。
救急車のようなその車の窓には、大きくUCIの3文字がありました。(photo:28kB)
救急車ではないようで、吸血車あるいは吸尿車なのでしょうか、たぶんその両方なのでしょうね、現在の自転車レースシーンに欠くことが出来ない車両ではないかと思います。
その中で、血や尿を採取しているということでしょうか、普通の救急車にしては短いですからたぶん検査機材を運ぶ車両というのが妥当な見方なのでしょうね。
フロントグリルのAMBULANCIA(救急車)という文字と、赤十字マークが気にはなりますが、純然たる救急車ではないと思います。
吸血車、吸尿車なんてのは私の造語ですけど、こんな車両は初めて見ました。
スペイン内だけで使われているのか、他の国でも使われているのか、ぼやけてるナンバープレートが鮮明だったならそのあたりを想像できるのでしょうが、残念ながらIXY-DIGITALにはこの程度の写りで、頼りない脳細胞にも写っていませんでした。
結構いけてるデザインのカラーリングを身にまとったベンツの救急車もどきは、来年からの注目株となりそうです。
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6 Nov. 2001
オーラ
オーラという言葉があります。「おら、おらー、なに言うとるんじゃ、このご威光が目に入らぬのか。」と水戸黄門までにはまだまだの、枯れる迄は四半世紀は掛かりそうな左右両派に属するニーチャンが言ってんのかと、その語句を初めて見た時に身構えてしまいました.............左のニーチャン、最近はしょぼいなー、がんばりや。

世の中どうにでもなる、ならなきゃじっと待ってりゃあその内に八百くらい居るという神さんが何とかしてしてくれるやろ.........自分の内なる何かでコントロールできる神々を持っている「非文明人」「唯一神を持たない人々」に属する私が「オーラ」という語句に初めて接した時、唯一神が発した言葉ではないかという誤解に基づいて「やばそー」と身構えました。
そのうちに、唯一神なら「オーラ」を持つ者を認めないんやろ、生身の者が「オーラ」を持つという事は、その生身の彼が「八百の神々」の世界に存在しているんじゃあないかと解釈するようになりました。

1998年にオーラをそれまでの誰よりも放ちきった天才的クライマーMarco Pantani、その破天荒の生き様は、八百の神々の一員に加えても他の神々に比べて何の遜色も有りません。
その神々は一芸に秀でた者たちですから、天才クライマーでありながら車輪で自らを痛めつけ、車輪を愛する人々に応援歌を作らせる芸を持つイタリア人の彼を歓迎するでしょう。
天才に贈る鎮魂歌「おーら、おら、オーーラ......、ご愁傷さーま」って失礼ですよね、まだまだやって貰いたいMarcoちゃん。

Vuelta a EspanaのGilberto Simoniは、Giro d'Italiaは何だったの?というほどに存在感が有りませんでした。
感じられなかったオーラ。
それでも、ステージレース後半に強い彼の本領を発揮して第20ステージのAlto de Abantosで帳尻合わせをしてしまったのはさすがです。
未だ見えない20m手前からオーラを振りまいていた天才Marcoちゃんには到達することは無いであろうSimoni、自転車選手にしてはごく一般人の顔、ゲルマンとラテンを混ぜた顔付き。
Marcoちゃんetc.のように癖顔でない彼がGiro d'Italiaの一段高い処に位置してしまったのは或る意味では可哀想なのではと思っていましたが、今年のジャパンカップに律儀に出てきて、気軽にサインをして、ついでに勝ってしまった彼Gilberto Simoni。
「わしら、どうでもええけど期待してまっせ、潰れるならそれでもいいよ。」と言っても内に籠もっていきそうなVDBの3文字で表せるLampreチームで同僚だったベルギー人とは違う道を歩むでしょう。
ゲルマンとラテンを混ぜた気質を具象するかどうか分からないですが、彼には地味でいいからもっと上を目指して貰いたいし、彼も選手のサガとして上を目指していることでしょう。...........ご近所のシモーニ・フーリガンはいただけないですがね、口は災いの元、集団でのヤジは貧相、来年はディフェンディングチャンピオンのフーリガンだしね、まあ大人になるだろうと期待しています。
Photo:Gilberto Simoni
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29 Oct. 2001
お足
毎度ながら、「お足」の報告というか、覚え書きをやります。
滞在費(宿代、ガソリン代、食費)  ¥63,000
レンタカー代 ¥39,039(Pts59,693)
航空券 ¥161,900
Total ¥263,939

レンタカーは、搭乗者保険以外の保険を掛け.........というよりは対人、対物、盗難、車両保険を掛けるのがレンタルの条件で、9月16日から22日までの「7日間」借りました。
「7日間」というのは、16日の10:00に借りて、22日の12:00頃に返したからです。
たいていの方はご存じでしょうが、レンタカーを22日の10:00までに返せば「6日間」借りたことになり、10:00を過ぎて返せば「7日間」借りたことになります。
レンタカーは日本で予約すれば特別料金が適用され、現地で直接借りるのに比べれば割安となります。そしてたいていの場合は、1週間以上のレンタルにその特別料金は適用されます。
9月23日の10:00までに返せば「7日間」の範囲に入りますが、航空機の出発時間が9時過ぎだったのでスイス航空のチェックインは7時過ぎからとなり、バルセロナの周辺の町に泊まってしまうと、宿を出るのは6時くらいとなってしまいます。
私が泊まるような安宿だと、家族経営が多くて朝早く出ると言い出すのをためらいます。
食事を出してくれる宿だと20時から21時くらいに始まり、終わるのは22時から23時となるので宿の人たちは夜遅くまで仕事となります。
朝早く出たいと言えば、たぶん宿の主人は鍵をどこかに置いて出ていって良いよと言ってくれるでしょう。
それでも良かったですが、汲めども汲めども興味が尽きないバルセロナの一端に少しでも触れてから帰ろうと思ったので、ちょっと後ろ髪を引かれつつ22時間の権利を放棄してレンタカーを返しました。

昨年のVuelta a Espanaでは、¥335,000で3週間楽しめました。
航空料金は今年とたいして変わらない¥160,000で、レンタカー代も日割りすればこれもたいして変わりませんでしたから、ちょっと大雑把ですが2週間を¥70,000あまりで過ごせる皮算用となります。............かなり怪しい計算です。............合わないですね。
1度ヨーロッパに渡ったら長期間過ごした方が、やっぱり得でしょうね。
昨年同様に今年もHostalとPencioneを使って、毎日ワインを飲みちゃんとした食事をしてベッドで眠っていました。
スペインでは嬉しいことに年々、安レストランのVino(ワイン)が旨くなってきます。ビールはイタリアより種類が多く、こくがあって旨いです。
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21 Oct. 2001
Klaus Moller
ポルトガルのMilaneza-MSSチームが面白そうだという予想は当たり、デンマーク人Klaus Mollerが第15ステージの山頂ゴールに単独で入ってきました。...........といっても、このステージは既に日本に帰っていましたから録画のCS放送でその様子を見ました。
私が現地で見た第10ステージLa Molinaの山頂ゴールで2位、第11ステージのAndorra山頂ゴールで8位とよく目立っていました。
終盤の厳しい山岳ゴールである第20ステージのAlto de Abantosで、Gilberto Simoniから15秒遅れの4位と安定した成績を残しています。
総合成績でもAngel Caseroから7分13秒遅れの8位、山岳ポイントもJose Maria Jimenezについで2位という傍から見ると上出来の成績でVuelta a Espanaを終えました。
1968年10月生まれの32才という年齢にしては初めて見る名前です。
スペインから帰ってきてからすぐにCycling Teams • Riders Databaseでサーチしてみましたが、その時はデーターベースに入力されていなかったようで "Sorry, no matches were found." とはねられてしまいました。
今はちゃんとデーターベースに相手して貰えます。
1995年にプロとなり、1998年と1999年にTVMに属していた以外はスペインとポルトガルのマイナーチームに属していた事が、彼に対する認識が無かった原因でしょう。
そのあたりは、ヨーロッパ辺境のチームMilaneza-MSSの悲しさでしょうか。去年までMaiaチームと名乗っていたMilaneza-MSSには今年Giroで総合5位と活躍したJose Azevedo(O.N.C.E.-Eroski)が在籍していました。

しかしKlaus Mollerは、TVM時代の1998年にGiro d'Italiaで総合17位に入っているので、力はあるようです。
CS放送でシマノの菊田氏が言っていましたが、Mollerはアマチュア時代からスペインで力を認められていたようです。

北欧系なのに長身ではないように見えるのは、ちょっと小太りな感じのせいでしょうか、いやがっしりした体型というべきかな?
Andorraでの個人TTで、直線のいやらしい登坂路で登ってきた時も他の選手に比べてちょっと小太り(がっしり?)でステレオタイプのクライマーとはちょっと違う印象を受けました。もっともSalvatore Commessoの太り具合に比べればとってもかわいいものですが。
今年のVuelta a Espanaで名を売った彼は、適度に個性的な顔つきで「あれ誰だっけ?」という疑問符付きで囁かれることもなさそうです。......まあ、そのためにはメジャーなチームに移籍しないと我々がCS放送などで彼を見る機会はなさそうですが。
年齢的にも数年後には確実に登坂力が下降線を辿るでしょうから、メジャーチームに移籍してもらって表舞台で走る姿をもっと見てみたいです。.........てなこと言うとポルトガルに対して失礼かな?.........ポルトガル一周レースも面白そう。
できれば、Giroの山岳ステージでMollerを見てみたいですね。Gilberto Simoniあたりといい勝負するのではないかと........Marco Pantaniが本調子なら、とても相手にならないでしょうけれどね。
しかし.......Pantaniどうなっちゃうんでしょうか? あんたねー、集団に埋もれてちゃあ駄目だよ........毎年、期待していますが、もう駄目なような気もします。   

Photo: Moller
Commesso
Pantani
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15 Oct. 2001
収穫
第12ステージの個人タイムトライアルが終わった翌日、第10ステージのLa Molinaから一緒に行動していた和田氏と別れて、Andorraからコース沿いに成り行き任せで景色が良さそうなところか、補給地点に行ってみようとレンタカーのPugeut 206を走らせました。
このコースは、緑濃く関税ゼロのAnddora(アンドラ)公国から緑のスペインを経て、赤茶色のスペインへと向かうので、スペインらしいダイナミックな景色の変化を楽しめます。

競争相手が少ないと思っていても、選手達が来る直前になると多くなるのがVuelta a EspanaのAvituallamiento(補給地点?)ですが、今年の第13ステージに訪れたAgramuntの町外れは競争相手が少なく、直前になっても「これはいけるかな?」と思わず笑みがこぼれるほどの人数でした。
カメラを構えているというハンディキャップを持っていると、直ぐ近くにボトルが転がって来ても拾いたいという願望にシャッターを押し続ける行為が勝ってしまい、ボトル拾う機会を逸しまいます。
それでも毎年、何とか幸運に恵まれてボトル数個を持ち帰ることは出来ていました。
昨年のVueltaではたった1個だけという有様で、さすが競争が厳しいVueltaというか、ボトル拾いではVueltaと相性が悪かったというか。

今年は競争相手の少なさに「これはいける」という予想を裏切らない収穫をあげました。
9年ぶりに拾ったサコッシュには、ボトル1個と補給食そして初めて見る小さなエネルギー・チューブが入っていました。
そのチューブ(20g)には、"MIX ENERGETIQUE / ORANGE-CITRON"とプリント(photo:23kB)されていて、100gで298Kcalという高効率エネルギーを供給してくれるようです。
その内に試食?してみましょうか。
それとは別に拾ったボトル2個はELITEの細身のやつで、掴みやすそうですが水を入れるにはちと小さいようです。
水以外の物でも入れますか、ゲージだけ手に入れなけりゃあ、あのゲージはボトルとのセット売りしか見かけないですけどね。

競争相手の少なさは、二兎を追う私だけでなくスペインの「ボトル拾いスペシャリスト」にも幸運をもたらしたようで、選手と補給役のマッサーの車が去ってからレンタカーに戻る途中で、路側に停めた車の後ろで収穫を整理する初老の夫婦(phto:29kB)に会いました。
大収穫に嬉しくてしょうがないのか、満面の笑みで写真を撮るのを了承してくれました。
足元に写っているビニールの袋は、スペイン国境のすぐ近くのスーパーマーケットでくれるやつで、アンドラにあるそのスーパーマーケットに初めて行ったときはその物量と安さに目移りして、あっという間に1時間余りを過ごしてしまいました。
彼らは、たぶんサコッシュから取り出した補給食をそのビニール袋にせっせと移しているのでしょう。
レンタカーを停めたところでは、おじさん2人組が補給食の包み(銀紙&普通の紙)を路上に投げ捨てていました。
投げ捨て..........スペインやイタリアではごく一般的な行為です。たぶんフランスでも。
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2 Oct. 2001

明瞭で輪郭が浮き出て居るかのように流れてくるイタリア語は、旋律を伴っているようでもあります。
数ヶ月前に聞いていたその懐かしい言葉を、バルセロナからの乗り換え地チュ−リッヒで聞き、まるでGiro d'ItaliaとVuelta a Espanaが私の中で直線的に続いていたかのような錯覚に落ち入りました。
それまでの3週間という時間から1週間に縮まった旅は、体と意識がその地に慣れた頃に帰りの便に向かうという何ともやりきれない思いを抱かせられていました。
そして、チュ−リッヒでのイタリア語、それはGiro d'ItaliaとVuelta a Espanaの間は無きに等しい時間、日本での時間は無かったと無意識の内に自分に思い込ませるのに十分すぎる刺激でした。

自分の旅は、違ったカルチャーの中に最低限必要な言葉を持って入って行き、その国の人々の表情と言葉の調子と身振りで言いたいことを誤解しながらも最低限は理解して、縮尺1/200,000の地図を見ながらそこらあたりをウロウロして良さそうな街や景色、山々を飽きるまで見に行くことで、そこには自転車ステージレースが彩りとしてあります。
彩り........くらいが丁度いいですね、自転車ステージレースは。
それには、「時間」が必要です。
1週間では少ないですねえ、彩りのはずの自転車ステージレースにのめり込みメインデッシュになってしまいます。街まわりがほとんど出来なくなります。

今年のVuelta? 毎夜の食事とワインには満足しました。
近年、レストランのいわゆるハウスワインがいけるようになってきました。
以前(1994年)は当たりはずれが多くて、店構えを見て「今日は大丈夫そう」「あっ、駄目そう、でもしょうがないか他にないから。」と大きな落胆が無いように予め心構えをしていました。
駄目なやつでも、酔うと「まあいいや、ようけあるし。」安く飲めて酔えたらいいのです。

ミシュランのスペイン地図は、1/400,000の縮尺でピレネーあたりの小径を辿るには扱いにくいです。フランスは1/200,000の縮尺でやってんのに、ミシュランの手抜きかな。
まあ、広い国だからしょうがないですかねえ。
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14 Sep. 2001
Zabel3
初めての山岳ゴールである第5ステージで、ベビーフェイスのOscar Sevilla(Kelme)がチームメイトのコロンビア人Santiago Boteroから総合1位の金色ジャージを引き継ぎました。
去年の主力が抜けても、山岳で強いKelmeチームは健在のようです。

その前のステージ迄はErik Zabel (Deutsche Telekom)が好き勝手にゴールラインを蹂躙し、3連勝しちゃいました。
Cipollini(Saeco)が出ていないので、「ツールより簡単じゃ。」とばかりZabelの独壇場となっているようです。.............ツールにもCipolliniが居なかったですけどね。
その彼に時々絡むOscar Freire(Mapei)、「スペイン期待のゴールハンター」だけのことはあります。Oscar Freireにもチャンスは、いずれ出てくるでしょうね。
オーストラリア人Robbie McEwen(Domo)、元Kelmeのスペイン人スプリンターAngel Edo (Milanza)もちゃっかりゴール争いに絡んでいるようです。

私は未だにポイント賞ハンターのErik Zabelを肉眼で見たことがありません。
山岳で大遅れすることなく乗り切る事が出来る彼を、Andorraでの山岳2ステージでじっくり観察できることを期待して、土曜日に関空からバルセロナに向かいます。

しかし.........まいりますねえ、例のテロ事件のあおりで機内持ち込み荷物のチェックがきつくなっているようで、スイスアーミーナイフは多分とりあげられて預かりとなってしまいそうです。
夜遅くバルセロナに着きますから、ターンテーブルでズルズルと待ち時間を取られるのは嬉しくなく、持ち込み荷物のみにしていますから預けたスイスアーミーナイフを受け取るタイムロスも避けたいです。
スイスアーミーナイフのコルク抜きと栓抜きは諦めて、栓抜き付きの安物ソムリエナイフを持って行ってビール瓶とガス入りミネラルウォーターの瓶に対処しましょうか。
これも取り上げられたりしたら?

国家権力に個人的な力で対抗できる事を証明してしまったニューヨークとワシントンの同時多発テロ、数千人にも上る行方不明者、死に対する恐れをどのようにかして麻痺させての「神風攻撃」、えらい時代の幕開けです。
自爆テロはパレスチナで、自らの住処を追われかかっているアラブ人たちが、日常的に行っていますが、それを唯一の超国家、独善的超国家に対して行ってしまい、しかも軍ではなくてあろう事か一般市民をターゲットにしてしまったということは、まさにパンドラの箱をむりやりこじ開けてしまったかのようです。
うまく持っていけば国民総意の元に国家が報復テロを起こせるのですから、このままテロ合戦になって世界全体が嫌なことにならないことを、彼ら双方の「神」に祈るばかりです。
かの国は、未だにジョンウェインらが演じたガンマンが大手を振っているようです。殺戮シーンで富を得ているハリウッドが、かの国そのものの様に思えることも多々あります。

宣戦布告なしに、巡航ミサイルで、爆撃機で、特殊部隊で他国の特定場所を攻撃するなんて立派?な「国家テロ」だと思いますがねえ、少なくても「戦争」じゃあないように思います。もちろん「戦争」も起こすべきではないと思います。
何の為に「国際法廷?」があるのかなあ、あっ!独善的超大国にとっては有名無実の法廷か。

馬鹿そうで、実がなさそうな伝統を引き継いだ首相が、尻馬に乗って国家テロを容認するようなことばかり言ってると、危機管理能力が限りなくゼロに近いと言われている日本なんて簡単にやられるでしょうね。

あー、やだやだ。
乗っ取られずにバルセロナに着いたら、田舎町のHostal(安い宿)で夕食に付いてくるワインを飲んだくれてVuelta a Espana の録画を見ますか、TVが部屋にあればよいのですが。
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6 Sep. 2001
選手たち
Vuelta a Espanaの出場選手が決まったようです。
結構いい選手、面白そうな選手がそろっています。
http://www.lavuelta.com
http://www.cyclingnews.com
http://www.cycling4all.com

昨年のVuelta a Espana覇者Roberto Heras(US Postal)。
今年のGiro d'Italia覇者Gilberto Simoni(Lampre)。
落日?の「天才クライマー」Marco Pantani(Mercatone Uno)。
グランツアーで勝てないTTスペシャリストAbraham Olano(ONCE)。
原因不明の故障に悩むスペイン期待のゴールハンターOscar Freire(Mapei)。
今年のGiro d'ItaliaでOlanoについで3位と進境著しいUnai Osa(i-Banesto)。
自業自得とも言える出場停止処分が解けて、Domo-Farm Fritesに拾われた「普通クライマー」Richard Virenque。
ステージ優勝になんかにこだわらなくても、Giro d'Italiaを2回も制したIvan Gotti(Alessio)。
近い将来イタリアの主峰となると期待される、Danilo Di Luca(Cantina Tollo)。
ぼちぼち花道を用意しなければならない、かつてのVuelta a Espana覇者Alex Zuelle(Team Coast)。
「変わっている」とCS放送で去年からさんざん言われていた、見た目の雰囲気も変わっているRoberto Laiseka(Euskaltel)
Paolo Savoldelli(Saeco)よりもっとベビーフェイスで、今年のTour de France新人賞を得たOscar Sevilla(Kelme)。
その、「いかれたダウンヒル屋」のPaolo Savoldelli(Saeco)も出るようです。
ETC.ETC..眺めているだけで楽しめます。

そのなかでも面白そうなのは、他のグランツールでは見ることができないポルトガルのチームが参加していることで、Giro d'Italiaに出てくるコロンビアチームのような存在に感じます。
ポルトガル・チームMilanza、いつもなら「またポルトガルチームが出ている。」で終わるのですが、メンバーを見てみると懐かしい名前があります。
TTがけっこう強くてVueltaを1度制した「元ONCE」のMelchior Mauri、「元Kelme」のスプリンターAngel Edo、彼ら2人のスペイン人と「元Festina」のスイス人Fabian Jeker。
「渋めの男たち」がいるMilanzaチームは、ちょっと斜に構えてVuelta a Espanaを見るには恰好の対象となりそうです。
他のチームの年齢構成は20代と30代が半々位という中で、9人の内20代がたったの2人という年齢構成も渋いですねえ。ちなみにMelchior Mauri35才、Angel Edo31才、Fabian Jeker33才、老練のチームといえますかねえ。
私が見に行くまで、老練たちにはリタイアしないで居てほしいですね。

しかし、誰が今年の覇者となるんでしょう、ドングリの背比べのようで予測つかないです。
「絶対君主Lance Armstrong」のために働いてきたRoberto Herasの連覇はないだろうと思いますから、他の誰か..........でしょうね。
Lampreのメンバーが良さそうなので、チームと彼にその気があるならGilberto Simoniかな?
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