スペインの安宿や安レストランで食事をすれば、大抵の場合ワインの1ボトルが食事代に含まれ、リーズナブルに満腹感が得られ、ついでに気持ちの良い酔いも得られます。
使い古されたというと大げさですが、赤ワインが垂れた跡が2筋ほどあったりするボトルに75cl(750ml)ぴったりにワインが注入されて、瓶の口に薄っぺらな頭で柔らかな3筋ほどのヒダを持つ樹脂性の栓を載せたボトルが運ばれて来ます。
何故か、いつもラベル面を裏向きにしてテーブルに置かれるので、たぶんラベルの銘柄と中身が違うんだという事を暗示しているのだろうと思っていました。
たまに、ソムリエナイフを使うレストランに行きあたっても、封を切ったナイフでそのまま樹脂性の栓をこじ空け、ボトルのラベルは裏向きでテーブルに置かれていました。
スペインでの最後は、Vitoria(Gasteiz)から少し北、国道から脇道に入った湖沿いのAgro Turismo(アグロ・ツーリズモ)、いわゆる農家が経営する宿に泊まりました。
朝食なしの1泊が40Euro、夕食が18Euroという私にとっては高級な宿で、他の客は無く、車も滅多に通らないという静かな環境、十分な広さの部屋には夜更しの元凶になりうるテレビもなく、夕食時間を19時に指定する事ができて、スペイン最後の夜はたっぷりと睡眠時間をとることが出来ました。
夕食前、テーブルの上にはそれまでの安宿と同じように、食器と共にラベル裏向きのワインボトルが置かれていました。
ワインは、ちゃんとしたコルク栓のRioja(リオハ)で、ソムリエナイフが添えられていました。
まともなRiojaなのに、ボトルラベルは裏向き、これがスペインの流儀なのでしょうか。
宿代に朝食が含まれていないので、買い置きのマドレーヌをたっぷりと食べてからチェックアウトをお願いしたのですが、薄めのコーヒーとマドレーヌ2個を出してくれました。
さすがにマドレーヌは、もう腹に入らないので断ったら、お昼に食べなさいとビニール袋に入れてくれて、2リットルのミネラルウォーターもプレゼントされました。
宿の夫婦は、こちらが恐縮してしまう位に親切でした。